フェンサー

【概要】

「本来、生き物を殺すのにデカい武器やド派手な魔法なんて必要ないんだ。生物である以上、どこかしらに弱点がある。人間なら喉とか目とかな。そこをこいつでブスリ、それだけで事は終わる。な、簡単だろ? 無論そんなことは相手さんもわかっているから、必死に守ろうとしてくるが……それをどうにかするのが、俺たちの腕の見せどころってわけだ。もっとも、魔動機の相手は勘弁願いたいがね」

 重く巨大な武器や金属でできた堅い鎧は、平民からしたら高額で中々手が出せるような代物ではない。精々、軽い細身の刃物や動物の皮をなめしてできた鎧を買うのが精一杯であった。そのような装備で正面から斬り合うのは分が悪い。そこで彼らは、貧弱な武器でも致命傷を与えられるよう急所を狙い、鎧の身軽さを活かして攻撃を受けずに避けるための技術を磨き上げた。それがフェンサーの始まりだという。

 ファイターのような力強さはないが、急所を的確に狙った鋭い一撃は強力で、強靭な魔物ですら致命傷を負いかねない。

 またその身のこなしはどんな武器による攻撃でもひらりとかわし、鎧の硬さをものともしない「ガン」が流行った時代には注目を集めた。

 安定感が売りのファイター技能とは真逆に、サイコロの出目が走った時の爆発力と爽快感が魅力的な本技能は、多くのダイスジャンキー達を虜にして止まない。

 運に自信のあるラッキーマンや、賭け事が好きなギャンブラーに是非おすすめしたい技能である。



【役割】

 フェンサー技能はダイスの出目が良い時に真価を発揮する技能であるが、残念ながら本項では出目の良し悪しを考慮しない期待値的な強さについて語ることになる。

 そんなことよりもロマンを追い求めたい! という方は、これ以降の文章を読むのはやめてサプリ「エピックトレジャリー」の武器一覧を眺めて好きな武具を探すことを推奨する。「エピックトレジャリー」には基本ルールブックⅠ~Ⅲの全アイテムに加え新規アイテムが多数収録されており、その上各技能の解説やアルフレイム大陸に住まう神々の紹介に相関図まで記載されている。これだけのボリュームでなんと税込3740円(2019.12/3現在)。ああ、なんてお買い得なんだ!

 ……余談はさておき、フェンサー技能の解説に入る。

 フェンサーの利点は大まかに2つある。戦闘系技能では珍しくBテーブルに所属しているため経験点が安く済む点と、武器のC値が1下がりクリティカルしやすい点だ。

 このC値減少効果だが、フェンサー技能の装備制限と絶望的に噛み合いが悪く、実はあまり強くない。【概要】でも言っているようにうまく行けば凄まじい攻撃に化けるが、うまくいかないことの方が多いのが現実というものである。

 C値を下げてクリティカルを狙っていくのはとても楽しく筆者も大好きではあるが、強いか否かというのはまた別の話。C値の低さを最大限に活かしたクリティカル特化ビルドでさえ、倍の重さの強力な武器を持ったファイターや手数で勝るグラップラーに期待値では適わないことが多い。

 クリティカルし続ければ無限にダメージを出すことができる? 間違ってはいないが、フェンサーより1高い目を出せば、ファイターでも無限にクリティカルし続けることが可能なのだ。

 そういうわけで、期待値的な強さを求める場合、C値減少はオマケくらいに考えた方がいい。フェンサーの強みはもう片方の特徴、必要経験点の安さにある。

 Aテーブルの技能に比べて経験点に余裕があるため、探索系の技能を高めに取ったり、魔法系技能を同時に習得して魔法戦士になったりできる。また、経験点を500点追加で払うと、Aテーブル技能より1つ高いレベルを維持することも可能。

 レベルが1高いというのは強力で、命中・回避・抵抗力と追加ダメージで1上回ることになる。レギュレーションによっては戦闘特技を追加で1つ習得できることも。

 装備制限の分武器の威力ではファイターに劣るものの、固定ダメージの部分には影響がないためそれなりに火力は出せる。

 耐久面に至っては、1レベル上をキープできれば回避力と抵抗力の分ファイターを上回ることも。とはいえ基本的にはファイターの方が堅いので、ある程度の工夫は必要。

 装備制限の仕様上、低筋力種族の方がフェンサーに向いている。というのも、例えば筋力10のキャラクターだと実質的な筋力減少は「5」で済むが、筋力20のキャラクターだと倍の「10」下がっていることになるからである。

 低筋力種族であれば、小さな制限でフェンサー技能特有の恩恵を受けられる。反対に、高筋力種族は筋力制限がより重くのしかかるため、基本的にファイターをやった方が強い。

 これらの特徴を踏まえて正しく運用すれば、安定性のある頼れる前衛になることも夢ではない。ロマン溢れるギャンブラーなフェンサーは勿論楽しいが、堅実に強いフェンサーというのもまたいいものである。本項がフェンサーの魅力を余すことなく知ってもらうことの手助けになったとしたら、筆者として大変嬉こばしい限りだ。



【おすすめの戦闘特技】

《頑強》

 いつもの。雑に強いので雑に習得する。

 フェンサー技能では《超頑強》が取れない点には注意。


《防具習熟/非金属鎧》

 上位の非金属鎧には軽い割に高性能なものがあるため、フェンサー技能と相性がいい。

 耐久系の戦闘特技を取っていないフェンサーは基本的に柔らかすぎて前に出るのが危険なため、これか《回避行動》のどちらか、あるいは両方習得しておきたい。


《回避行動》

 フェンサー技能にのみ置き換えが発生し、効果が倍になる。

 回避力と防護点は単純比較できるものではないが、あえて比較するなら「防具習熟S≧回避行動Ⅱ>>>防具習熟A=回避行動Ⅰ」くらい。

 好みに合わせてこれか《防具習熟》のどちらかを選択して習得しておきたい。勿論両方習得してもいい。


《テイルスイング》

 フェンサー唯一の範囲攻撃手段。範囲攻撃ともなれば、フェンサー技能でも総合ダメージは結構なもの。尻尾はどんなに筋力が低くても装備できるため、実はフェンサーが一番この特技を使いこなせる。

 ファイターの《薙ぎ払い》には武器の性能差の分火力で劣るが、こちらは盾を持ちながら使えるのが利点。

 ただし、尻尾を使うため練技『ドラゴンテイル』の習得か種族がリルドラケンであることが必要。


《武器習熟》

 フェンサー技能で火力を出したいならこちら。

 C値低下の特徴がある分、ファイター技能よりも恩恵が大きい。

 上位武器にはSランクソード「ピアシング」やAランクウォーハンマー「アンスルーピック(エピックトレジャリーに記載)」など、C値が低くてフェンサー技能と相性のいい武器がいくつかある。特に拘りがなければそのあたりを目指すのがおすすめ。

 ただし、武器の強化コストが倍々になっていく点には注意。特に武器の魔化が難しくなるのは痛い。



【おすすめの種族】

《人間》

 ダイス依存度の高いフェンサー技能は、運命変転と特に相性がいい。

 筋力もほどよくフェンサー向き。大安定。


《リルドラケン》

 テイルスイングを主力にするなら、元々尻尾のあるリルドラケンが相性抜群。

 能力値も当然のように強い。というか前に出るならリルドラケンになっておけば間違いなく強い。

 テイルスイングを使わなくても強いが、それはあくまでフェンサー視点の話。リルドラケンはファイターが天職すぎるため、テイルスイング主軸以外はまったく同じことをファイター技能でやった方が大抵強くなる。

 勿論弱くはない、どころかフェンサーとしてはかなり強い方なので、ファイター技能との差異が気にならないなら問題はまったくない。


《グラスランナー》

 実は総合能力値が全種族トップ。

 頭一つ抜けて高い敏捷と独特の魔法耐性により、他種族とは違った方向性の耐久力を誇る。

 敵との相性によっては、リルドラケンファイター以上のタフさを見せることも。

 筋力が極端に低いため、火力には期待しないほうがいい。タンク向けの種族。

 低火力高耐久という性質上、ある程度知能のある敵には無視されやすいので、《挑発攻撃》を取るなどして工夫したい。


《ティエンス》

 フェンサーライダーをするならティエンスがおすすめ。

 能力値はナイトメアから少し筋力と知力を削り、その分生命力と精神力を上げたような耐久よりの配分になっている。

 能力値傾向がフェンサーの特徴と噛み合っているため相性がよい。

 別にライダーをやる必要があるわけではないが、騎獣がいないと種族特徴が腐ってしまう分他種族に見劣りする。幸い種族特徴は仲間の騎獣にも使えるため、他にライダーがいたらそちらに使用してあげるといい。

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