第233話 食い違い

夕食を食べ終え、俺がソファーに座ってテレビを見ている時だった。


俺のポケットに入っているスマホが振動する。ラインの通知がきたのだろう。


でも待てよ?俺にラインが来るのなんてこの合宿メンバーか家族くらいしかいないんだよな。


誰だ?


俺はスマホを取り出し送り主を確認する。


そこには『くるみ』と書かれていた。一ノ瀬だったらしい。


でも、なんでわざわざラインで言う必要があるんだ?


俺はラインの内容を確認する。


『肝試しの時の約束なんだけどさ、いつにする?』


約束ってなんだ?


俺が一ノ瀬とした約束……あ、ラノベを買ってやるみたいなやつか。


でも、なんでわざわざラインで会話する必要があるんだ?俺と一ノ瀬の距離は2メートルくらいだぞ?


喋れば普通に声が通るのに。


全くわからん……。


てか、その約束ってどういうことだ?


もしかして、1日目には『ラノベは読めません!』とか言ってたのに実は俺が頑張っていたら渡すみたいな感じだったのか?!


まあ、一ノ瀬はいいやつだしめちゃくちゃ可能性は高いな。


まあ、いつって言われたら……、


『今日がいいかな。てか、今持ってるの?』


いつでもいいなら今日を選ぶに決まっている。


ただでさえ今はラノベが読めないんだから、読みたいと思うのは普通の反応なのではないだろうか。


送りながら一ノ瀬を見ると、目があった。


いつもみたいに笑顔なのかなと思っていたら違った。


あれ?なんか顔が引きつってる?なんでだ?


『どうかしたか?』


俺は一ノ瀬宛にラインを送る。


するとラインを開いていたのだろう。すぐに既読がついた。


一ノ瀬はその通知を確認する。


俺が送ったラインを見たのだろう。


スマホに手をポチポチしていた。


そして数秒後に、


『大丈夫だよ。一応持ってはいるよ。でも、また今度にしない?みんなもいるわけだしさ、2人の時でもいいんじゃない?』


さっきから一ノ瀬の様子が明らかにおかしい。


だってラノベ一冊渡すだけだよ?


それでなんで真昼たちがいたらダメなんだよ。


全くわからない。


でも、一ノ瀬がラノベを持っているということは確実だ!それなら絶対に今日もらう以外の選択肢はない!


『いや、今日にしよう!一応勉強頑張ったわけだし、そのご褒美みたいな感じで!』


俺は『引く気はない!』という意味を込めてラインを送る。


同時に一ノ瀬の顔も確認すると、何かを必死に考えているようにも見えた。


あなたはさっきから何を悩んでいるのでしょうか?


数秒悩んだ後、一ノ瀬はため息をつき、一通のラインを送る。


『わかった。それじゃあ買ったやつは枕の下に置いておくからつけて待ってて』


どうやら今日渡してくれるらしい。


でも『つけてて』とはどういうことなのだろうか?


席に着けってこと?


それに、枕の下に置いているってのも意味がわからない。


分かっていたら勝手に読み始めたくなっちゃうじゃん。


俺は若干疑問に思いながらも『わかった』と送る。



風呂に入る前、一ノ瀬に「ゆっくりと入ってきてね」と言われたので結構長めに15分くらい入った。


きっと風呂に入っている間にラノベの準備なんかをしてくれていたのだろう。



俺が風呂を出ると最後に入るが一ノ瀬だったので、一ノ瀬がお風呂場に入ってきた。


そして、俺が出る前に一言、「優しく……してね?」と言われた。は?どゆこと?



俺はすることもないので部屋へと移動することにした。


枕の下にはラノベが入ってるらしいからな。楽しみだなー!


部屋に入るが特に違和感はない。


まあ、あるのは枕の下だからな。


俺はベッドに腰掛ける。


チラッチラッチラッチラッ…………。


やばい、めっちゃラノベが気になるんだが?!


これって中身見たらダメなのかな?!


でも、場所を教えるってことは中身を見てもいいってことなのではないだろうか?


でも、こういうのって勝手に中身とか見ちゃダメなやつだよな……?


ダメだ!わからない!


どうしよう……。



数分間の葛藤の末、俺決断した。


ラノベという誘惑には勝つことができなかった。


俺は枕を取った。ワクワク〜♪


「えっ?」


この状況が全くわからなかった。


たしかに枕の下にあった。


しかし、ラノベではなかった。


そこに置いていたものは、保健体育の授業で1度は聞いたことがある単語。


コ○ドームだった。


一体どういうことなのでしょうか。


ガチャリ。


そのタイミングで部屋な扉が開かれた。


そこには風呂から出た一ノ瀬の姿があった。


「それじゃあ、始めよっか」


はああああああああああああ?!?!?!?!?!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る