第232話 癒し

「ただいまー!」


「おかえりー。おつかれさまー」


俺が扉を開けると、真昼が立っていた。


「ど、どうした?」


猫耳をつけていた。肝試しの時にもつけていたやつ。


そして、なんか猫みたいなポーズをとっている。


普通のやつがやっていたらかなり痛いやつなのだが、真昼がすればそれは人気コスプレイヤーみたいだった。


猫耳だけでこれだけすごいなら、服装まで全部揃えてコミケとかに出たら、間違いなく世の男どもに囲まれるな。


俺がもしコミケなんかで見つけたら写真を撮りたいと思うだろうし。


「えっ?!変だったかな……?」


思わず真昼をずっとガン見していたためか、自分が変なのかとなんか自分の体をめっちゃ見ていた。


「いや、変どころかものすごくいい!めっちゃ可愛いと思う」


真昼がかなりおどおどしていたのもあるが、素直に可愛いと思ったのでそのまま返した。


「そ、そう?ありがと♪京くんきっと疲れてるかなぁと思ったから、少しでも癒せたらと思って」


俺が褒めたらか、かなり上機嫌になった。


子供がはしゃぐように喜ぶ姿は昔から全く変わらねえな。


本当に一緒にいてほっこりするよなぁ……。


「ありがとな。めっちゃ癒された」


俺は真昼の頭に手を置いた。なんか自然と手が動いてしまった。


俺は真昼の頭を少し撫でた。


めっちゃ可愛いよな。


「うん!晩ご飯できてるから一緒に食べよ!」


「ああ、そうだな」


俺は真昼に手を引かれてリビングに向かう。


俺の後ろには白雪さんもついてきていた。



「お兄ちゃんおかえりー!」


俺がリビングに入ると同時に1人の少女が俺をめがけて突進してくる。


俺は慣れた手つきで片手であいちゃんを抱く。


「ただいま、勉強は頑張ったか?」


俺はお兄ちゃんというよりかはお父さん目線であいちゃんに聞く。


「うん!算数やったよ!」


「そうか!よく頑張ったな!」


俺はあいちゃんを床に立たせてから頭を撫でてあげた。


「にゃ〜♪」


最近この猫みたいな鳴き声にハマってます。めっちゃ癒されません?


俺はあいちゃんと真昼と一緒に食卓に向かう。


そして、みんなで食事をする。


こんな日常が本当に最近は楽しく思う。


これからもずっと続けばいいのになぁ……。



「よし、いきますか!」


三日目の夜。今までの緊張なんかはほとんどなくなった。


いつもの流れので割り箸を引く。


「おっ……私か……」


俺は相手の人と目があった。


やばいぞ!精神攻撃で死ぬかもしれない。


それに、白雪さんとの話を聞く限り、こいつがこの勉強合宿を計画した可能性が高い。


よし、この夜で聞いてみるかな。



この時はまだ知らなかった。


この夜、ある食い違いによって、ある事件が発生することに……。

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