第230話 俺と白雪さん
本日の相手は女性でした。
それも一番まともな人だった。
俺からしたら大当たりだとも言えるが、エロラノベの件があってから若干距離をとられている気がするんだよな。
やっぱり中身見られてるよな……。
もしかしたら、『これからは愛彩にそんなものは教えないでください』とか言われるんじゃないか?!
とずっと気になっているのが、なかなか言ってこない。
しかし、今までの距離とは少し違う。ちょっと引かれてる気がするんだよなー。
一体どう思われてるのがものすごく気になるんだが。
俺と白雪さん姉妹は村瀬の両親の部屋に入った。
両親の部屋にはダブルベッドがあるので、あいちゃんがあるペア=両親の部屋ということになった。
2人=シングルベッドなのも普通におかしいと思うのだが。
実際今日の朝俺ベッドから落ちていたわけだし。
まあ、そもそも7人が人の家で合宿する時点でおかしい。
「お兄ちゃん!遊ぼー!」
部屋に入るならいきなり甘えてくるあいちゃん。
やばい、本当に兄になりたいと思ってきてしまった。
やばい、これは重度のシスコンになってしまったのかもしれない。
俺がいつものように撫でてあげる。
「にゃあ〜♪」
いや、この子ほんとに天使なんじゃないか?!
この世の人間にこんなにも可愛い生き物がいるだろうか。いや、いない!
よし、俺はこの子の兄になる!
その後はひたすらあいちゃんと遊んだ。
あいちゃんは持ち運びが可能なゲーム機(俺があげた)を持ってきていたので、それを交互にしたりして遊んだ。
『アリオブラザーズ』というゲームで、色々なコースをクリアしていくゲームだ。
コースはたくさんあるので時間を使うには最高のゲームだな。
あいちゃんがクリアできなかったコースを俺がクリアすると、「すごい!すごいよお兄ちゃん!」って言ってくれるんだよ?お兄ちゃん頑張っちゃうよ!
その結果、2時間しっかりと遊び尽くした。
「愛彩、もうそろそろ10時だし寝なさい」
白雪さんが部屋にかけられていた時計を見てから言う。さすがは真面目!
「うん、わかった……」
あいちゃんも結構素直に聞くようだ。お姉さんを見て育ったから真面目なのかもしれないし、単に眠くなってきただけなのかもしれないな。
「森木さんはどうしますか?私はもう少し勉強しようと思っているんですけど」
俺があいちゃんと遊んでた間もずっと1人で勉強してたんですよこの子は。凄すぎますね!
これを見せられたら、ちょっとはやる気出さなくちゃだよな。
「それなら俺もやろうかな」
俺は勉強道具を取り出し、机に広げる。
「そうですか。それでは一緒に頑張りましょう」
集中力というものは周りの雰囲気から上がるのかもしれない。
THE 真面目な白雪さんがいるからか、かなりペンが進む。これはすごいぞ!
「そろそろ終わりましょうか。明日はバイトもありますしね。森木さんも初めてのバイトですね」
白雪さんが教科書などをまとめながら言う。
結果的にいえば、俺は国語のワークが半分くらいまで終わった。午前中のことを考えれば普通に凄すぎる!
「そうだな。そろそろ寝るか」
俺たちはあいちゃんの寝ているベッドへと移動する。
あいちゃんを挟むようにして俺たちは寝転んだ。
「ねえ、どうしてこんな勉強会なんて参加したの?多分だけど、白雪さんってこういうの苦手だよね?それに、男の俺なんかと一緒に寝るなんて、嫌でしょ?」
どうして白雪さんみたいな人がこんな勉強合宿みたいなバカがしそうなことに参加したのかが純粋に気になった。
「そうですね……。まさか私が森木さんと一緒に寝る日が来るとは思ってもいませんでしたね。でも、全く嫌だとは思いませんでしたよ。もし嫌だと思っていたら一ノ瀬さんから誘っていただいた時に断ってますよ」
ん?一ノ瀬……?
「そう?それならよかったけど。てっきりちょっと嫌われてるのかと思ってたからさ……」
あれ?俺って嫌われてなかったの?
「そんなことないですよ!私がこの勉強会に参加できるようになったのも全て森木さんがいたおかげなんですよ?私には友達なんて1人もいませんでした。でも、それを救ってくれたのは森木さんなんですよ?嫌う理由なんてどこにもありませんよ。逆に一生感謝しても仕切れないくらい感謝しているんですよ?」
「えっ?そうなの?」
意外だった。俺は嫌われているわけではなかったらしい。
「はい、だから、これからもずっと私の友達でいて欲しいなと……」
若干照れるように言う白雪さん。
「うん、俺も正直に言うけど、この合宿メンバーにしか友達いないからな?」
「えっ?そうなんですか?!」
「うん、だから、俺からもずっと友達でいてくれると嬉しいな」
その後は少し雑談なんかをしていた。
「あ、さっき俺のこと嫌いじゃないって言ってたけど、よくあのラノベを見てそう思ったね」
俺は嫌われてないことは確定したので、なんでもすらすらと出てくる。
「ん?ラノベ?ああ、あの時忘れていた本のことですか?あれってどんな物語だったんですか?私中身は見たなかったので、よければ私にも読ませて欲しいです」
えっ……?中身見てないの?!
じゃあ、俺が自分で墓穴掘ったってこと?!
読みたいの?!
自分の姉と妹がみんな変態で…………みたいな話なんだけど、読みたいの?!
「わ、わかったよ。また今度渡すね」
よし、俺はあの時そんなラノベは読んでいない。俺が読んでいたのは面白い推理系のやつだ。
エッチな姉や妹が出てくるようなラノベは読んでいない。うん、読んでいない……。
◆
まさか、森木さんと同じベッドで寝る日が来るとは思ってもいませんでした。
でも、この合宿メンバーの中で一番信頼しているのは森木さんだから、森木さんとたくさんお話しできたらいいなぁ……。
大事件発生です。まさか愛彩が私の邪魔をするなんて……。
愛彩はずっと森木さんにひっついてたくさんおしゃべりとかしてました。
ちょっと羨ましかったです。
お、もう10時だ。
この時間なら愛彩は寝る時間。
私はすかさず愛彩に寝るように言った。
いつも言っているから特に愛彩にも怪しまれるようなこともなかった。
愛彩はベッドに寝転ぶ。
どうしよう……。
森木さんとたくさん話をしたいとは思っていたけど、全く話題が思いつかない。
「森木さんはどうしますか?私はもう少し勉強しようと思っているんですけど」
特に話題も思いつかず、絞り出した言葉がこれ。
ちょっと後悔しました。
勉強中は特に2人とも話すことなく時間が過ぎていくだけだった。
私は結局何も話すことができませんでした。
ああ、人と話すのって本当に難しいです。
私たちは愛彩を挟んでベッドに寝転んだ。
そんな中、森木さんから話しかけてくれた。
どうしてこの勉強合宿に参加したのかだった。
私は隠すことなく素直に話すことにした。
話していて知ったのだが、森木さんはどうやら私に嫌われていると思っていたらしい。
全く嫌いなところなんてないのに。
そんなところでも私は素直に森木さんに感謝を伝えることができた。
森木さんは孤独な私を救ってくれたヒーローみたいな存在だ。
友達なんて無駄な存在だとばかり思っていたのに、今ではこんなにも友達ができた。
それからというものは本当に楽しかった。
一緒にご飯を食べたり、勉強したり……。
そんなことが本当に幸せを感じる。
本当に森木さんには一生感謝しても仕切れない。
ずっと仲良くしてくれたらいいなぁ……。
あと、ライトノベルというものは読んだことがないし、どんなものを貸してくれるのかも楽しみ。
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