第228話 教えてほしい

2日目はかなり平和に進んでいた。


郷田においても、真昼の隣ではなく正面に座っていた。


どれだけ嫌われたくないんだよ!


俺も午前中の間に理系科目は終わった。


しかし、この時に俺は気付いてしまった。


あ、あと文系科目しかないじゃん……と。


俺のやる気スイッチは完全に戻されてしまった。


理系科目の時はすらすらと手が進んだのに、今ではペンを持つことさえ拒絶している。


あいちゃんとの約束がある以上はやり遂げなくてはならない!


てか、なんで全部終わらせなくちゃいけないんだよ……。



それは数時間前、ちょうど理科が終わった時だった。


俺が伸びをして休憩をしている時だった。


「結構いいペースだね。それなら、京くんは全部終わるまでやっちゃおっか。どうせ監視係がいないと勉強できないでしょ?」


「……………いや、できる……と……思うぞ?」


嘘だ、全くやる気はなかった。


だって今まで夏休みの宿題とかやらなかった男だからな!


それがなぜ監視係をいない状況でやらなくちゃいけないんだ!


そういった考えだったため、図星を突かれて綺麗に対応できなかった。


その結果、俺だけ全部終わらなければならなくなってしまったのだ。



それ以降はまったくもってやる気が出てこない。


だって、理系科目とあとなんかの教科の半分を終わらせればラノベが読めると思っていたからやる気は出ていた。


しかし、今は違う。


大っ嫌いな国語に英語……。


これらの宿題も……?冗談じゃない。やれるか!


でも……。でも、あいちゃんが悲しむ姿は……。


その一心でやる気0だがペンを動かし続けていた。


結果、お昼ご飯までに国語が3ページくらい進んだ……。


終わりはまだまだ遠そうだな。



昼食を食べ終えた後だった。


「ねえ、私けーちゃんに数学教えてもらいたいんだけど、京くんとペアになってもいいかな?」


村瀬がソファーで休憩しながら言った。


そして、それに反応するように真昼も「わ、私も」と返した。


「そうだねー、それじゃあ数学が苦手な愛月ちゃんとまっひーが私と京くんとペア組もっか。じゃあ赤を引いた方が京くんね」


そうして3度目の割り箸。


一ノ瀬が隠して先を2人に向ける。


そして2人は一本ずつ摘む。


「せーのっ!」


同時に割り箸をあげる。


そして、同時に1人がガッツポーズで、1人が膝から崩れ落ちていた。なんだよこのバラエティ番組みたいなやつは!


「よし、じゃあやるか」


俺は1人の少女を連れて部屋に向かっていくのであった。


赤髪の少女を……。


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