第226話 添い寝の相手

一階に降りて初めに見た光景はかなりやばかった。



真昼が郷田に勉強を教わっている……。


うん、普通に勉強していて偉いと思う。まあ、俺が言うのもおかしな話だけど。


それがなぜやばかったのか……。


真昼の顔がかなり引きつっていた。


まあ、理由は一目でわかった。郷田だ。


郷田は真昼のすぐ隣に座っていた。ほとんど肩も触れていた。


おい、こいつ何したんだ?!


真昼のこんな顔初めて見たぞ?!


ひとまず助け舟出しとくか……。


「そろそろ腹減ったし飯にしようぜー」


「いいね私は賛成!」


俺の言葉に飛びつくように返し、すぐに席を立った。なるほど、よほどストレスが溜まっていたんだろうな。


後で郷田には注意しておかないとな。


そして真昼はすぐさま俺の元にちょこちょこと歩いて来て、俺にしか聞こえない声で「ありがと」とささやいていた。


え?ほんとに何されてたの?!


大丈夫か郷田!この勉強合宿中に逮捕されるなよ?!


かなり心配だが、ひとまず真昼の方だな。


俺は軽く背中を叩いて落ち着かせた。


ちょっと何があったのかが気になってきたな。


「そうだな、俺もちょっと腹減ってきたし飯にするか」


やっていたワークや教科書などをまとめて言う郷田。


こいつ絶対真昼が嫌がってること気付いてないよな……。


結構人の感情とかわかるやつだと思ってたんだけどなぁ……。


「そうだね、それじゃあ二階組に伝えてくるねー」


俺の後ろについて来ていた一ノ瀬が再び二階へと向かっていく。


さっきのささやきが頭の中から離れないんだが?!


それなのに、言った本人はめちゃくちゃ何もなかったような顔しやがってええええええ……。


いつかは俺が一ノ瀬をからかってやる!



晩ご飯を食べ終え、みんなリビングで休憩をしていた。テレビを見たりスマホをいじったり……。


「ねえ、寝る部屋のことなんだけどさ……、前に決めた方法でいいよね?」


「「「「いいよ」」」」


あれー?俺だけ知らされてない気がするんですけどー。俺って実はいじめられてたりしているんじゃないだろうか。


「了解!それじゃあ、はい!」


そう言って一ノ瀬は、数時間前にも使ったことのある割り箸を取り出した。なんでしょうねこれは……。


「さっきと一緒で、これで今夜一緒に寝るペアを決めます!ペアになってしまった以上は拒否権はありません。一夜を2人で過ごしてください!なんか青春っぽいなって理由で決まりました。あいちゃんはさっきと一緒で好きなところで寝てくれていいからね」


はい、俺には何一つ言われてない……と。


てか、え?!これって普通にまずくないか?!


単純計算したら、80%の確率で女子と寝ることになるんですけど?


絶対郷田が提案しただろ。てか、よくみんなも承認したな。


俺たちは割り箸を一本ずつ摘む。


「せーのっ!」


俺たちは一斉にその割り箸を上げた!


俺は青色!


俺のペアは…………。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る