第225話 ご褒美
やる気が出てからは早かった。
俺はただひたすらに手を動かし続けた。
その結果、5時半までに数学と理科のほとんどが終わった。
やばい、俺って天才なのかもしれない。
「よく頑張ったね」
「まあな、突然やる気出た」
自慢げに言う。
「ロリコンだもんね……」
なぜか少し寂しそうに言う。
「いや、ロリコンではない。言うのであれば、シスコンと言って欲しい」
俺は小さな女の子が好きだと言うわけでは決してない!
あいちゃんという女の子を妹として可愛いと思うだけだ!
「いや、何言ってるの……。あいちゃんは小春ちゃんの妹なのであって、京くんの妹ではないんだよ?現実見ようよ?」
そんなこと分かってるわ!
「分かってるけど、実際あいちゃんも俺のこと『お兄ちゃん』って呼んでくれてるわけだし、もうお兄ちゃんってことでいいかなと」
「うん!あいはお兄ちゃんの妹だよ!」
そう言って飛びついてくるあいちゃんを手慣れた手つきで抱き、頭を撫でてあげる。
「にゃあ〜♪」
いや、ほんとにこの子は可愛すぎるわ。
「まあ、今日は頑張ったから今から30分は休憩でいいんじゃない?」
「まじ?!よっしゃあああ!!」
「やったああ!!でもあいちょっと眠たくなってきた……ふあ……」
あくびをしながら言うあいちゃん。めっちゃ可愛い!
「それじゃあ、晩ご飯までベッドで寝ておいで」
「うん……」
ふらふらと歩いてベッドに倒れる。そして、もう寝息を立てていた。
俺はあいちゃんをちゃんとベッドに運び直し、タオルケットをかけてあげた。
気持ちよさそうに寝ているあいちゃんを見ていたら俺も眠たくなってきたので、俺も床に寝転んだ。
そして、軽く目を瞑った。
昼からだが、本気で勉強をしたので疲れてしまったらしい。
寝ようと思えばすぐにでも寝れそうだった。
30分寝ようかな……。
俺は意識を沈めた。
何やら俺の後頭部に何かが当たっている気がする。
枕みたいで、ものすごく気持ちいい。
おそらく一ノ瀬が膝枕をしてくれているのかもしれない。
肝試しの時となんとなく似ている気がする。
このまま何時間も寝ていたいなぁ……。
俺の意識はだんだんと沈んでいく。
「好きだよ……」
「えっ?!」
思わず反射的に反応してしまった。
「えっ?!け、京くん?!起きてたの?!あ、ああなんだ!私の言葉に目を覚ましたのかぁ……」
なんだか最近の一ノ瀬は余裕がなくなっている気がする。さっきも俺が目を覚ましたときもめっちゃ驚いてたし。
てか、めっちゃ顔赤いじゃん。
「どうしたの?私の好きだよ宣言にびっくりして起きちゃったの?もぉ〜可愛いな〜」
「べ、別にそういうわけではない。単に目が覚めただけだし」
俺だって一ノ瀬に負けてばかりじゃダメだ。
できる限りの反論をするが、おそらく意味はないだろう。
実際めっちゃドキッとしたし、きっと一ノ瀬にもばれてる。
「そんなに意地張らなくてもいいのに〜」
「腹減ったなあー!そろそろリビング行くか!」
さらなる追撃を感知したので俺はすぐさま撤退。
なんとかいじられるのを防ぐことができた。
はあ、ほんとやめて欲しい。
好きでもない人にキスしたり『好き』だとか言ったりするのは……。
ものすごく勘違いしてしまう。
俺じゃなかったら間違いなく勘違いしてすぐにフラれるパターンやつだな。
俺は勘違いなんて起こさないからな。
俺はあいちゃんを残したまま一階に降りていくのだった。
あいちゃんはもう少し寝かせてあげよう。
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