第220話 眠り姫三姉妹
林間学校最終日も無事に終わり、今は帰りのバスだった。
周りでは半数以上の生徒が寝ている。
最終日もたくさん動き回ったので疲れたのだろう。
しかし、俺は目がパッチリと開いていた。
なぜなら?
俺の両肩に重みがある。
しかも、その重みの原因は我が隣人且つクラスでも人気No.1とNo.2だよ?
バスに乗る前はすぐに寝ようと思っていたのに、すぐに一ノ瀬が俺の肩を枕にして寝始めた。自然と落ちてきたんだろう。
そして数分後、次は真昼が俺の肩にもたれてくる。
あ、帰りのバスでは一ノ瀬の提案により、もう一度席順をいじることになった。
その結果、村瀬、郷田、一ノ瀬、俺、真昼になった。
郷田にはめっちゃ睨まれた。怖かった。
そして、バスが出発してから30分ほど経っただろうか。
村瀬まで寝始めて、今一番後ろの列には郷田と俺だけが起きて座っていた。
ちなみに、村瀬は郷田の肩にもたれていた。
きっと2人の関係にも何かあったのかもしれないな。郷田もちょっと嬉しそうだった。
でも、お目当の2人が俺の方に傾けて寝ているため、若干不機嫌。怖い怖い。
くそー!郷田には睨まれるし、寝れないし。
さっきから何度も寝ようと試みたものの、全く寝付けなかった。
なんでしょう、あの女の子特有の匂いみたいなのあるじゃないですかー。やばいですわ。
結局俺は全く寝ることができず、ひたすら郷田には睨まれ続けたのだった。怖えー!
◆ 一ノ瀬の場合
バスの座席、運良く京くんの隣に座ることができた。
2人にもちゃんと話したことだし、2人に構うことなんてない。自分は自分の攻め方をするまで。
そういうわけで、私はすぐに京くんの肩を借りて寝た……フリを始めた。
正直眠れない。
顔赤くなってないかな……。
ものすごく不安な気持ちにもなる。でも、ここで引くわけにもいかない。京くんが起こそうとしてきても絶対に起きたりしない。
そういえば、約束の件どうしよう……。
あの時は冗談でエッチなこととか言ってしまったけど、実際どうすればいいの?!
買えって言っていたのは、あの……保健体育とかでも聞いたことがある『コ○ドーム』ってやつだよね……。
まさか私が買わされるとは思ってなかった。
そ、そそそそそれに、なんか激しいのとかなんだとか……。
一体どうすればいいの?!ちゃんと勉強しなくちゃ!
10分後……。
なんだか、眠くなってきちゃった……。昨日もロクに寝れてないしね……。
zzzzzz……。
◆真昼の場合
なに?!くるちゃんがいきなり仕掛けた!
これは私も負けてられない!
私はすぐにくるちゃんと同じように京くんの肩にもたれる。そして、寝たフリ。
よし、頑張ろう!
10分後……。
zzzzzzzz……。
◆郷田の場合
くそー!またしても運が悪い!
一ノ瀬ちゃんとは隣になれたけど、京にもたれて寝てるし!
くそっー!どうしてこうなるんだよおお!!!
俺にも1人くらいもたれてくれよ!
おっ、村瀬がもたれてきた!って、村瀬か……。
まあ、でも誰もいないよりかはいいか。
ちょっと嬉しい……。
よし、こうなったら夏休みのお泊まりで誰かとお近づきになってやるぞおおおおおおお!!!!!
◆村瀬の場合
くそー!一ノ瀬ちゃんに奪われた!
くそーくそーくそーくそーくそーくそーくそーくそーくそーくそーくそーくそーくそーくそー……。
zzzzzzzzzzz……。
こうして、俺たちの林間学校は幕を閉じた。
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