第219話 親友
今私のいる部屋にはまっひーと愛月ちゃんがいる。
私は今日、今ここで2人にしっかりと話をしなくてはいけない。
2人とはもう今まで通りに仲良くしていられるのかもわからない。
だって、同じ相手を好きになってしまった。
それに、私はこの2人の信頼を裏切ってしまった。
これからは仲が悪くなってしまうかもしれない。
でも、それでも、私はちゃんと自分の気持ちを伝えようと思う。
今私は2人の対面に座っている。
言うと決めたはずなのに、仲が悪くなるかもと考えると決意していてもなかなか口が開かない。
「私、2人に伝えないといけないことがあるの……」
「うん……」
京くんが好き。
たった一言。言おうと思えば3秒もいらない、たった一言……。
こんなにも言いにくい言葉なんて今までにあったかなぁ……。
小学生のいじめられていた頃も確かに辛かった。親に言うこともできなかったし、何度も泣いた。
でも、何だか違う……。
私にできた心の底から仲良くしたいと思えた友達。
その2人を失いたくないという気持ち。
京くんにちゃんと気持ちを伝えたいという気持ち。
こんなにも葛藤したのは初めてかもしれない。
でも……。
「わたし、京くんが好き」
失いたくはないけど、だからといって2人を騙したみたいな状況でいるのは友達なんて言えない。そんなのは、私が2人を信頼していないと言っているようなものだ。
なんて言われるのかな……。
友達やめようって言われるのかな……。
仕方ないのかもしれないけど、私は京くんが好き。でも、それと同じくらいこの2人も大好きなんだ。
「そっか……」
まっひーが小さく声を漏らす。
嫌われちゃったかな……。でも、後悔はない。どんな言葉が返ってきたとしても私は受け止める。
「まあ、好きになってしまったのは仕方ないよ。なんならなんで今まで好きにじゃなかったのか聞きたいぐらいだよ」
しかし、帰ってきた言葉はそこまで怒りの感情は感じられなかった。
「そうだね、まあ、今までけーちゃんのよさに気づかなかった時点で私たちも劣っているわけだけどね。でも、これは強敵が現れちゃった」
「本当だねー」
愛月ちゃんも全く怒ってなどいなかった。
「どうしたのくるちゃん?!」
「へ?」
「泣いてるよ……?」
目に手を当てると驚いた。私は涙を流していた。
「どうたの?」
まっひーが優しく聞いてくれる。
私は大バカ者だなぁ。
「もぢかぢたら、ふだりどはなかがわるぐなったりするがもどおぼっで……」
こんな2人のことも信頼できてなかったのか……。
「そんなわけないじゃん!たしかに、くるちゃんはとっても美人でとっても優しくて、京くんがとれちゃうかもって怖いけど、それ以上に今ちゃんとくるちゃんが正直に話してくれたのは嬉しかったかな……」
「うん、私も友達とか今までそんなにいなかったから、本当に来未ちゃんが友達になってくれて嬉しかった。京くんのことはライバルになるわけだけど、これからも仲良くして欲しいかな」
「ゔん……。わだぢもながよぐぢだいよおお……」
いつの間にか私は泣き崩れていた。
2人に支えられていて、泣き止むまで数分かかった。
「これってあれだね!小説とかであるライバルって書いて『しんゆう』って読むみたいなやつ!」
「それは多分逆だね。親友って書いてライバル」
まっひーの天然なのかバカなのかわからないようなことに泣き終えた私が突っ込む。
「そうだ、『京くん大好き同盟』が集まったことだし、久しぶりに女子会でもしようよ!」
そうして私たちは電気を消した。
しかし、みんな目は開けているはず。私は開いている。
「ねえ、そういえば来未ちゃんキャンプファイヤーの時けーちゃんにキスしてたよね?」
どんな顔をしているのかはわからない愛月ちゃんが言った。
ドキリと……はしない。今はそんなことする必要なんてない。
「そうだよ。頬だけど京くんにキスしちゃった。これは私も少しはリードできたのかも!」
この2人に気を使う必要なんてない。自慢したっていいんだ。
「私はちゃんと唇にキスしたけどねー」
すぐさままっひーが反撃開始。私撃沈。
「私はけーちゃんと一緒にお風呂入ったし!」
「私はお風呂に入ってないけど、京くんに裸は見られたよ!」
愛月ちゃんの自慢にすぐ反撃。愛月ちゃん撃沈。
いや、まっひー強すぎてでしょ!
こんな京くん大好き話が永遠と続いた。
誰も「寝よう」なんて言う雰囲気すらない。
今日、私たちはさらに絆が深くなったんじゃないかな。
だって、とっても大切な
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