第218話 死刑
森木京揚げが完成した後、さすがにやりすぎたのに気づいたのか、部屋までは支えてくれた。支えるなら初めからあんなことするな!
部屋に戻り少し休んだところ、体はかなり回復した。
ふぅー。風呂って快適な場所なはずなのに、どっと疲れが溜まってしまったわ。
このまま寝かせてくれたらいいな……という幻想はすぐにぶち壊された。
俺の体調が回復したと判断した郷田はすぐさま口を開いた。
「で、お前はどうして一ノ瀬ちゃんとキスしてたんだ?」
さて、ここでなんと言ったら俺の身は助かるのだろうか。正直助かるなんて0.0001%たりとも信じてないんだけどね。さすがに郷田は無理だわ。
ひとまず正直に俺の考えでも言うか。
「まずですね……」
「おん」
いやー、怖い!郷田さん声いつもみたいに元気にしてくださいよー!
「これは俺の考えなんでけど……」
「おん」
「からかわれているだけなのかと……」
「おん」
えっ?!反応なし?!どうして?!いつもなら「喧嘩売ってんのかあ!!」とか言って殴りかかってくるのかと思ってたのに。熱でもあるのか?
でも、手を出してこないなら、こっちはしっかりと無罪を主張しよう!まあ、キスはされたんですど。
「俺って、常日頃から一ノ瀬にからかわれているんですよ……」
「おん」
「肝試しの時とかも電気消したりしてめちゃくちゃからかわれたんですよ……」
「おん」
「それより前にもいっぱいいっぱいからかわれてるんですよ……」
「おん」
「だから、今回も同じようにからかわれているだけなのかなあと……………………」
「おん」
なんなの?!今日の郷田めちゃくちゃ怖い!いつもなら絶対もう殴りかかってきそうなのに、なんで殴られないんだよ?!いや、別に殴られたいって訳じゃないんだけどさ。本当に熱あるのか?
「…………」
「……それだけか?」
何この妙な圧力かけてくる聞き方!めちゃくちゃ怖いんですけどおお!!
他にももっと言い訳を言えってことなのか?!
でも、さっき言ったことでほとんど言い終わった……よな?だから、
「だから、あれはちょっとした一ノ瀬からのイタズラみたいな……?」
俺が最後に出した言葉。
それを聞いて郷田が出した判決は……。
「よし、死刑」
「まてえええええええええ!!!!!!!」
この後20分ほどかけてなんとか死刑は免れた。
死刑を免れる条件として、夏休みに郷田が俺の家に泊まりにくることになった。
最近思うけど、こいつって本当に俺より真昼や一ノ瀬目当てで俺に近づいてきたんじゃないかと心配になっているんですが、どうなんでしょう。
唯一の親友がなくなるかもしれません。
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