第213話 キャンプ

その後もいろいろあったが、そのほとんどを俺は見学した。


せっかくの林間学校だったのになぁ……。


やっぱりぼっちには遊ぶ権利なんてないと神様が言ってるのかなぁ。俺神に嫌われてるの?!



そんな見学が数時間続き、日が沈んだ。


食事も終わり、半分くらいの生徒は自室へと向かう。


しかし、俺は自室には向かっていなかった。


もちろん先生の部屋だとか屁理屈を言っているわけではない。


俺は外に出ていた。


そう、この学校の林間学校には自由に参加できるキャンプファイヤーがある。


そして、このキャンプファイヤーには3分の1程度の生徒しか参加していない。


参加している大半が彼氏彼女や、ヨウキャたちだった。


俺がこの中で浮いているのは明らかだった。


俺だって普通ならこんなところに来るのではく、自室には戻って部屋の隅っこでラノベを読もうかと思っていたのだが、肝試しの時に一ノ瀬に誘われて、なんかその場の勢いでオッケーしてしまった。


で、してしまった以上は仕方がないのでここにきたのだが……。


一ノ瀬がいない。


あれ?これっていじめの一種なんでしょうか?


なんか他の人たちは続々とペアを作っていって、火の近くに向かっている。


なんだろう……。


ペアとか決まってないけど、行ったら行ったで誰かとペアなるでしょ!みたいな感じできたやつみたいだ。やばい……恥ずかしい。


俺って一ノ瀬にはめられたのか?


落ちてすぐの時だったから突然からかうようなことはしてこないと思ったけど、まさか最初から騙されていたと言うのかあああ!!!


きっとどこかでそんな俺のことを見てるのかもしれないな。


動画とか撮られてたら、俺の黒歴史また一つ増えてしまいそうだな。まあ、今までの人生で何百とあるんだけど。


ちょっとショックだけど、まあ仕方ないよな。


俺がまんまと騙されたのが悪いんだよな。


俺と踊りたい奴なんていないのに……。


帰るか……。


俺は火とは反対方向の宿に向かって歩き出した。



前方から誰かが走ってきていた。


きっと誰かを待たせていて、慌てて来たんだろうな。まあ、俺には関係のないことだけど。


いや、違う。その走っている人は一ノ瀬だった。


なんだよ、ネタバラシをしに来たのか。


それならそこまで走らなくてもいいのに。


まあ、向こうもからかおうとしているわけだし、騙されたって感じでリアクションしておこうかな。



「え?」


俺は手を引かれていた。そして、その手を引いているのは一ノ瀬。そして、彼女は俺の手を引き、キャンプファイヤーの火に向かっていた。


「ごめんね、遅れちゃった」


とてもドキッとした。


なんか、いつも見ていていつも綺麗だなあ、美人だなあと思っていた。


でも、なんだろう……。言葉に表せられないくらいドキドキしていることが自分でもわかった。


なんなんだろう……。

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