第209話 起床
先生がいたからなのかもしれないが、俺は生徒が起きなければならない時間の30分前の6時に起きていた。
二宮先生は「起こしちゃったかな?ごめんね」と優しく言ってくれたが、バカ教師は「おはよー!朝起きたらのハグしよー!」とか言ってきたので蹴っ飛ばした。
そして、それを遠目で見て苦笑いの二宮先生。
俺って絶対この人に引かれてるよね。
「君は生徒の集合時間の30分後に来てくれたらいいからね。それまではここでゆっくりしといてね」
「はい、ありがとうございます」
「ねえねえ、もし動くのしんどかったら私が食べさせてあげようか?」
「結構です。普通に動けます」
そう、ほんの数時間前までは体動かなかったのに、おっぱいに挟まれて円周率を唱えていたら体が動くようになっていた。
これは新たな治療法『おっぱい円周率治療法』と名付けよう。
ここで気づいた。
あれ?もしかして、俺が円周率を唱えてたのって、ぱいπ繋がりなのか?!俺の頭はそこまで侵略されていたというのか?!
そ、そんなはずは……ない……は……ず……。
「それじゃあまた後でね」
「はい、お世話かけました」
手を振って部屋から出ていく二宮先生と投げキッスをしてくる。
一瞬ドキッとしたが、すぐに自分の頬を叩いて目を覚ます。
1人になった部屋。
周りを見ると、俺の荷物と先生たちの荷物があるだけ。
やばい……。一瞬犯罪なことを考えてしまった。
まずい……、ここにいてはまた変なことを考えてしまいそうだ。
俺はまだ少し早いが、部屋を出ることにした。
体が動くようにはなったが、まだ動かすとかなり痛む。
俺はなるべく体を庇うようにしてゆっくりと歩いた。
俺は階段を降りて一階へと降りる。
そして、その時に見つけた。俺の親友を。
「郷田!おはよ。朝早いんだな?」
俺が手をあげて言うが、返事が返ってこない。
「え?お前なにしてんの?」
なんか本気で???と顔が言っていた。
なにをそこまで驚いているんだろう?
「いや、もうちょいしたら飯だから、食堂に行こうと思って」
え?俺って変なこと言った?
普通朝食の時間が近づいてきたら食堂に向かうかない?俺間違ってる?
しかし、次の郷田の言葉で全てが明らかになった。
「いや、だって二階は女子以外立ち入り禁止なんじゃ……?」
「え?ああ、昨日体がボロボロだったから先生がついておかなくちゃいけないらしくてな」
一瞬俺ってすでに犯罪を犯してしまったんじゃないかと思ったが、考えてしまえばこれは仕方がないことだ。俺が自ら階段を登ったわけじゃないんだし。
だから、俺はちゃんと胸を張って言う。
「なに?!お前先生と一緒に寝たのか?!それって誰と寝たんだ?!」
目を思いっきり開いて言う。やばいやばい落ちる落ちる!
「えっと……、二宮先生と足立……先生」
「なっ!!!お前……。なあ、一つ聞いてもいいか?」
郷田がちょっと俯いて聞いてくる。
なんか圧力があって怖い。
「ああ」
それでもなんとか返事をする。
「殴ってもいいか?」
「断る!」
「くっそーーー!!なぁ京、今日って俺たちの部屋で寝るんだよな?」
聞いてくる郷田の目が怖すぎる。
「ああ、もう体も動くし、そっちで寝ると思う」
「わかった。京、今日の夜は寝かせないぜ」
やばい……、殺される。
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