第208話 おっぱい

「なにしてるの?もしかして、お邪魔だったかな?」


障子を開けて入ろうと先生が、俺たちの姿(バカ教師が俺のパンツをずらそうとしていた)を見て、聞いてきた。なんか、ちょっとずつ障子が閉まってる気がするんですけど?!


「うん、あと1時間くらいで終わりそうだから、それまでちょっとだけ待っててもらえないかな?」


笑顔で言うバカ教師。


俺は慌てて口を開く。やばい!閉まる閉まる!


「違います!助けてください!襲われてます!!」



結果的に言えば助かった。


さっき入ってきた人がこのバカ教師を止めてくれたのだ。


「大丈夫だった?この子、興奮するとすぐアホなこと考えるから。ほんとごめんね。あ、私は二宮真里にのみやまり。よろしくね〜」


なんだこの天使みたいな人は!めっちゃ綺麗で見るからに優しい人ですオーラ出てるわ。


それに比べて、このバカ教師。興奮するとアホなこと考える奴が教師になっていいわけねえだろ!


「ねえ、まりー!私森木くんと結婚するんだー!」


「しねえよ!あっ……すいません……」


ついさっきまでの勢いで思いっきり言ってしまった。目の前にいい先生がいるのに。


「あ、うん、まあもうちょっとだけ教師には敬意を払おうね。静香にこうなっちゃうのはわからないでもないけど。それに、君って森木くんだよね?私も森木くんとはお話ししたかったんだ。最近小春ちゃんと仲良くしてくれてるんでしょ?」


なるほど、白雪さんのクラスの担任の人だったのか。


「はい、まあ俺はマンションに住んでるんですけど、俺の住んでる部屋の下が白雪さんの部屋なんですよ。それで最近はちょっと交流もあるって感じですかね」


「ねえ、私の時と話し方違うくない?!」


なんか聞こえたけどスルー。


「そうだったんだ〜。いやー、最近は小春ちゃんが楽しんでそうだったから、君と付き合ったりしてるのかと思ってたよ」


「な、なに?!」


スルー。


「いや、ちょっと色々ありまして、多分俺は嫌われてると思いますよ。それに、最近楽しそうにいるのは、真昼たちのおかげでもあると思いますよ。あ、真昼と一ノ瀬は俺の隣の部屋に住んでます」


「ラノベ主人公か!色々ってわかった!小春ちゃんって子の前でエロアニメ見てたんだろー!」


「っ!!!」


とっさに反応してしまった。


アニメがラノベに変わったら大正解だ。


でも、そんなこと恥ずかしすぎて言えるわけないだろ!


「おっと、まさかのビンゴ?!それなら、私のライバルは、宮下ちゃんと一ノ瀬ちゃんだね」


「勝手にライバルとかにすんな!」


俺は即座に突っ込む。


「はい、そこまで」


二宮先生は手を叩いて、俺たちを落ち着かせる。このバカみたいな猛獣も落ち着いた。すごいぞ二宮先生の手!


「もう4時だし、明日も朝早いから今日はもう寝るよ」


「わかりました!寝ましょう!」


「えー。私子供作らないと、卒業まで待たなくちゃいけないんだけど!」


「あ、そのこと全部嘘です。今後は多分ほとんど関わらないと思っておいてください。先生にいい人が見つかることを願っておきますね」


「ぎゃあああああああ!!!!」


「う・る・さ・い♪わかっっっった?」


「は、はい……」


すごい。この姿、まさに母親みたいだな。


「はい、寝るよ。電気消すからね」


「はい、ありがとうございます先生」


「はーい……」


早く寝ること(このバカの相手をしなくていい)を嬉しく思う俺と、嬉しく思わないバカ。


電気は消された。



やべえ……………………。


俺は右を見る。


そこには大きなおっぱいが。バカのだ。


心臓の鼓動が速くなる。


薄暗くて、2人の寝息が聞こえるからこそ緊張する。


俺は左を向く。


そこには、先ほどより一回り大きなおっぱいが。二宮先生のだ。この人って、ダメなところないんじゃね?


さらに鼓動が速くなる。


ダメだ。やばい、全く眠れない。


そうだ!こう言う時こそ……


3.1415926535897932384626433832795028841971693993751058209749445923078164062862089986280348253421170679821480865132…………………………………………………………。


俺はこの後、1時間ほどひたすら円周率を唱えていたのだ。


無限に続く円周率、いいよね!

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