第197話 神頼み
カレーも食べ終えて、そのあとはひたすら山道を歩くだけの時間が続いた。
全く面白くなかった。でも、運動不足の俺にはちょっと良かったかも。
そして、今は夕食も終えて午後7時30分。
肝試しが始まる時間になり、俺たち5人は集合場所に集まった。
真昼はどうやら回復したらしい。
「よっし、絶対に京くんと一緒になるぞー!」
こんなことも言ってるし、本当に大丈夫なんだろうな。
俺たちの目の前には割り箸が5本出された。
その中からそれぞれ一本取る。
そして、割り箸の底には赤が2本、青が2本、何も塗られていないのが1本だ。
色が一緒の人同士がペアになる。
そして、何も塗られていない人は肝試しのお化け役として働かされる。
絶対に負けられない戦いがここにある。
だって、中学の時は自らお化けに立候補しておいて、誰も脅かさず静かに終わるのを待っていた。
だから、肝試しというものの楽しみが全くわからない。一度でいいから体験したい。
「京くんとなりますように京くんとなりますように京くんとなりますように……」
「けーちゃんとけーちゃんとけーちゃんと……」
「……………………」
「一ノ瀬ちゃんか宮下ちゃん一ノ瀬ちゃんか宮下ちゃん一ノ瀬ちゃんか宮下ちゃん……」
このようにみんなを見たらそれぞれ祈っていた。
そしてこの俺も、
「お化け役以外お化け役以外お化け役以外……」
ペアが誰になってくれとかは頼まない。
ただ、肝試しという楽しみをお化け役で終わりたくない。頼みますかみさまー!
「それじゃあいくぞ!みんな一本つまんでくれ。まだ抜くなよー」
ここまでくればあとは神頼み。
よろしくお願いします。
俺は一本つまむ。
「それじゃあせーのっ!」
俺たちは一気に引き抜く。
俺の割り箸に色は………………あった。
あったぞおおおおお!!!!!
俺の割り箸の底は赤色に塗られていた。
この時点でペアができて、楽しめることが約束された。
で、あとはペアは誰なのかだな。
「私と一緒のペアだね、よろしく」
声の方を振り向くと、そこには1人の女性がいた。
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