第195話 共同作業 3
今どんなことしてるんだろう。
私の視線の先ではけーちゃんと真昼がイチャついてる。
見るたびにムカつく。
だって、なんか2人で包丁握って野菜切ってるんだよ?!
絶対おかしい。真昼がどうせ変なことを言ったに違いない。
だって、あんなことをけーちゃんからやるはず……
ない……よね?
うん、絶対そんなわけない!
あれ?なんかけーちゃんが真昼のおでこに手を当てている。なんで?
あれ?気を失ってる?真昼が気を失ってる?
なんかけーちゃんに支えられてどこかに行った。
んん?!わからない。謎すぎる!
あ、けーちゃんが帰ってきた。真昼はいない。
熱でもあったのかな?
あっ、けーちゃんがこっちに来た。
「野菜持ってきたぞー。よろしくな」
「うん、真昼はどうしたの?」
普通に興味本位で聞いた。
「ああ、ちょっと前から変なことするなぁとは思ってたんだけど、それで確かめたらほんとに熱があった。まあ、微熱だったから明日には良くなってるんじゃないかな」
おっと待てよ。これってだいぶチャンスじゃない?
だって、真昼がいないとなれば、けーちゃんにアピールできるのは私だけ。
もしかしたら大大大チャンスなんじゃない?!
よし、ここは攻めるべし!
「けーちゃんってもうやることないよね?」
「あ、ああ、うん。もう切り終わったからあとは待つだけだな」
よし、これならいける!
「じゃあさ、どうせだし一緒にお話ししようよ。私は暇なんだよね」
「ああ、全然いいぞ」
よし、ここからは私のターンだ!
でも、全く何も思いつかない。
うーん、どうすれば……。
仕方がない。ここは少し真昼に感謝しとくか。
「ねえ、けーちゃん、せっかくだし作るの手伝ってよ」
真昼としたんだ。私にもやる権利くらいある。
「ん?ああ、俺にできることあるならなんでもやるぞ」
「やったー。じゃあ、ちょっとかき混ぜててくれない?」
「了解」
けーちゃんはレードルを握り、ゆっくりとかき混ぜていく。
私はさっきけーちゃんにもらった野菜たちをかき混ぜてる鍋の中に入れる。
そして……。
けーちゃんの手に自分の手を重ねた。
けーちゃんと目があった。
「何してんの?」みたいな感じの目だ。
でも、真昼もやったんだから私だって引くわけにはいかない。
「本当の共同作業っていうのは、一緒に野菜を切ったりするんじゃなくて、一緒にかき混ぜることを言うんだよ」
知らんけど真昼のよりかは本物っぽく聞こえるよね?
「ちょっといいか?」
「あ、うん」
私はけーちゃんに言われたので手を離す。
すると、けーちゃんは私のおでこに手を当てる。
「うん?!熱、ないのか」
「いや、全部熱のせいにするなあああ!!!」
私の右手が暴走してしまった。
「……あ、…………」
気づいたときにはもう遅かった。
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