第192話 共同作業 1ー2

やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい!


つい調子に乗って変なこと言っちゃった!


ででででも、これってチャンスだよね?!


それに、教えるって言っちゃったし……。


ううん!これをチャンスと考えるんだ!ちょっとでもアピールしないと!


今京くんはできた半分の野菜を村瀬さんのところへ持って行ってる。


でも、すぐに帰ってくるだろう。


共同作業……。ダメだ!共同作業ってなんなんだろう。


私もインキャだからこんなのしたことないし。


あー!もう全然頭が働かない!


共同作業って何したらいいんだろう!


頭に浮かんでるのは色仕掛けみたいなのしか思いつかない!


「ど、どうした?」


「あ、ああああ、京くんか」


「う、うん。大丈夫か?休んどくか?体調悪いなら、これぐらいなら俺1人でも作れるけど」


「い、いや、共同作業だから。2人で野菜を切るの!」


「お、おう、わかった。じゃあ教えてもらうわ」


ダメだ。完全に頭がおかしくなってしまった。


なんか、わけのわからないことしか頭の中に出てこない。


どうしよう。でも、ここまで言っちゃったし、もうこの暴走モードに頼るしかないのかな。


どの道制御が効かないし、この勝負に賭けよう!


「えっと、じゃあまずは、私が包丁を持つから、後ろから私の手に重ねて」


はあ?!?!何言っちゃってんの?!


そんなの京くんがしてくれるわけないじゃん!


「そ、そうなのか?全然知らなかった。でも、これ本当にあってるのか?」


信じちゃったよ。どうせこのあと私の言うことなんて……


「もちろんだよ!ささ、はやくはやく」


やっぱり……。もうダメだ。


そのあと、私たちはゆっくり一つずつ切っていく。


あ、なんか、結婚式のケーキ入刀みたいだなぁ。


「なんか、結婚式のケーキ入刀みたいだね」


やってしまったああああ!!!!


うん、これは暴走もあるかもしれないけど、自分で考えてしまっていた以上文句が言えない。


「え、ええ?!や、やっぱりおかしいよ。熱あるんじゃない?」


京くんが私から離れていくのが分かる。


ああ、あああ、あああああ……。


「やっぱり。熱あるじゃん!ひとまず先生のとこまで行こ」


「え?!う、うん……」


たしかに、突然めまいが……。


「まったく……。せっかくの林間学校なんだから、はやく治しなよ」


「う、うん。それは絶対に。今日の肝試しには……」


そこで私は意識を失った。


ああ、せっかくの共同作業が。


まあ、なんか京くんに介護してもらえて嬉しいかも……。


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