第189話 勉強クイズ 後
俺が数学が得意だということが知れてからは、殺意以外の視線も向かっていることに若干喜びを覚えていた。
それから少し問題が続き、現在の途中経過はこんな感じになっていた。
1位 俺 4点
2位 一ノ瀬 3点
3位 真昼、郷田 2点
4位 村瀬 1点
やばいぞ!このままじゃ1位になってしまう!
俺が数学が得意だと知られてからは数学の問題が出たときはなぜか強制的に俺に回答権が回される。
で、渋々答えたら、もちろん合ってるから俺に1点入る。そんなことを続けていたら、知らぬ間に俺が1位になってしまっていた。
やばいな、これ以上答えてたら1位になってしまう。
そしたら、誰か1人選ばなくちゃいけないんだろ?
そんなの絶対に無理だ。これからは絶対に一問も答えない。
一ノ瀬に是非とも頑張ってもらいたい!
「それじゃあ次の問題!教科は数学!はい!」
Aくんは紙を見せる。
『6408+23×87÷3= 』
俺はチラッと問題を見て、すぐに目を閉じた。
絶対に答えない絶対に答えない絶対に答えない絶対に答えない絶対に答えない絶対に……。
「森木、答えは!」
「7075。あっ」
つい言ってしまった。
やばいやばいやばい。本気でやばいぞ!誰を選んだらいいんだ?!
俺は本当に無心になる。
俺はこの勝負に勝ちたいとは思ってはいない。むしろ負けたいとさえ思っている。
絶対に口を開かない。
おそらく一ノ瀬も同じ考えなのだろう。
3点取ってからは、絶対に分かりそうな問題でも答えてない。くそっ、逃げやがった!
頼むから真昼達にもわかる問題が出てきてくれ。
俺の思いが届いたのかもしれない。
その次からの問題は真昼、郷田、真昼、Dくん、村瀬と突然みんなが覚醒した。
よし、このまま行ってくれよー!!
「それじゃあ、まあ目的地が近くなってきたみたいなんで、これにてしゅーりょーしまーす!」
………………………。
終わってしまった……。
結果、
1位 俺 5点
2位 真昼 4点
3位 一ノ瀬、郷田 3点
4位 村瀬 2点
ということになった。
1位に、なってしまった……。
最悪だ。1位ってことは、誰か1人を選ばなくちゃいけないの?
そんなの告白みたいなものじゃん!俺にはできねえよ!
「じゃあ京くん、一緒に料理を作りたい人は?」
真昼が聞いてくる。
俺が気を使わずにいられる相手……あっ、
「ごっ…………いや、うーん」
郷田って言おうとしたら、思いっきり睨まれた。泣きそうになりました。
「まあ、京くんが1位で私が2位だから、誰も選べないなら、私と組もうよ。賢いもの同士さ」
「ま、まあ、そういうことなら……」
と、いうことで、俺は真昼とペアを作ることになった。
「それじゃあ、俺たちも3位同士ペアになろっか」
「う、うん。私は別に誰でも構わないよ」
そして、郷田の提案に一ノ瀬は賛成し、2人はペアになった。
村瀬は1人ということになった。
こうして、カレー作りのペアを巡っての激しい戦いは幕を閉じた。
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