第186話 この人誰だろなクイズ 前
こうして始まったクイズ大会。
一つ目は『この人誰だろなクイズ』。そのまんまのゲームだ。
以前、このゲームに向けてのアンケートが行われており、俺も一応書いた。
書いた内容といえば、誕生日、趣味、得意な教科、苦手な教科などだ。
俺の誕生日は10月2日、趣味は読書(さすがにアニメ鑑賞とは書けなかった)、得意な教科は数学、苦手な教科は国語と回答した。
まあ、俺には友達と呼べる人は4人しかいないし、その他の人は名前すら知らない人だっている。
よって、一問答えられたら大健闘と言ってもいいだろう。まあ、答えられる度胸があるかどうかは悩ましいところではあるが。
「それじゃあ、第一問!」
「「「「イエーーイ!!!」」」」
そう言って、文化委員のクラスメイトAくんがはてなボックスみたいなところから1枚の紙を取り出す。
なるほど、この瞬間まで誰が答えになるかは分からないってことか。
アンケートの時に、アニメ鑑賞って書かなくて良かったー…。
Aくんは紙を自分にだけ見えるようにし、中身を確認する。当たりませんように当たりませんように。
「それでは、第一問!初めのヒントの趣味は……ゲーム!」
いや、分かるか!趣味がゲームってほとんどのやつじゃねえか!
でも、この時点で自分ではないことを確認し、一安心。
「そんなもんわかるかー」
「もっとわかりやすいヒント出せよー」
クラスのみんなも文句を言っている。納得。
そんな反応を見て、Aくんは笑いながら口を開く。
「それじゃあ、二つ目のヒント。得意な教科は理科!」
みんなが考えだす。ゲームが好きで理科が得意な子……って、俺にわかるわけないか。
みんなも考えだす。そんな中、1人の男子、名前は……分からんからBくんが口を開いた。
「橋本じゃね?!」
はしもと……Cくんだね。
「せいかーい!」
Aくんが手を叩きながら正解と答える。
どうやら正解したらしい。誰かしらんけど。
ダメだ。そんなクイズ絶対一問も答えられるわけがない。
Aくんは次の紙をボックスから取り出す。
「それじゃあ、2問目!はじめのヒント、趣味は……ひ、人を殴ること?」
郷田だ。こんなこと書くやつ郷田以外にいるはずがない。
俺が郷田の方に視線を向けると、親指を立ててきた。どうやら正解らしい。
周りを見ても、どうやら郷田だということはみんな気付いてるらしい。でも、言えないらしい。
分かる。なんか答えたら殺されそうだもんな。
そんな中、一ノ瀬が口を開いた。
「つよしくんだー!」
「せ、せいかーい……」
Aくんも若干顔を引きつらせながらも正解を伝える。
「今のは一ノ瀬ちゃんにはわるいけど、京が一番最初に気付いてたな。だから京にも一点だな。人を殴るで俺って分かられるのって悲しいな。うう……」
「殴るのが趣味そうなのって、どう見てもつよしくんしかいないよー」
一ノ瀬は笑顔で郷田に返す。一ノ瀬のおかげで若干重くなってた空気も元通りになった。
一瀬さんパネーっすわ。
なんか、答えてもないけど、一点もらえた。
暫定首位タイ。やったぜー。
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