第183話 苦い過去
午前7時。こんなにも早い時間なのに、俺はもう家を出ていた。
そう、今日から林間学校なのだ。
真昼たちが起こしてくれたおかげで寝坊せずに済んだ。
てか、遅れてしまった場合バスの都合もあるので、行けないことになっている。
中学生の頃の俺だったら『え?この制度ラッキーなんじゃね?サボっても少し怒られるだけで済むんじゃね?』と考えていただろう。てか、考えてた。
それもそうだろう。だって、友達の1人もいないし、楽しみなことなんてひとつもなかったんだもん。
それに、中3の修学旅行の時のことなんだが、俺が集合場所に行った時、同じ班のことにあったんだよ。
でだ。その子はなんて言ったと思う?
『へぇー…、森木ってこんなのに参加するようなやつだったんだ』
だよ?歓迎の意を1ミリも感じられないんだよな。
まあ、俺も絶対に行きたくないと思って、色々と行動したんだよ?
前日、風呂では水を頭から浴び、パンツ一丁で寝た。
しかし、目を開けた時、いつもなら二度寝したいなあと思っていた俺は完全に目が覚めていた。
全く眠気がしない。
しかし、どうにかサボりたいと思っていた意地でも二度寝を試みた。
集合時間に遅れてしまえばいいんだ。ただ、それだけでいいんだ。
そしたら強敵登場!母親である。
部屋の扉を豪快に開けて入ってくる。
一瞬、びくりと肩を動かしてしまったが、俺は寝たフリ大作戦を続ける。目を閉じる。
「起きろおおおおおおお!!!!!」
と怒鳴られて、俺は目を開ける。
どうやら時間稼ぎの時間は終わったらしい。
こうなってしまったら、残す手段は一つしかない。
「ねえ、ちょっと体調が……」
俺は言いながら母親に視線を向けていく。
そして、視線に入った母親の顔は『なるほど、喧嘩売ってるんだな?!』と物語っていた。
しかし、俺だってここまで来たら譲れるわけがない!
今日バスにさえ乗らなければ、3日間の自由が与えられるのだから。
「ちょっと熱があるかも……」
俺は病に苦しむ少年を演じる。
しかし、次の母親からの言葉で、心が折れてしまった。
「それじゃあ、37度以上ない、または、修学旅行のバスに遅れたとか言って帰って来た場合、今日から家にあげないからね。それでいいんだね?そらでもいいなら熱を測りな」
「はい、熱が引いた気がします。修学旅行行ってきます」
と折れて行っても、結局みんなに嫌がられるんだよ?悲しいだろ、俺。
そんなこともあったなと思い出しながら目的地に向かう。
でも、今回は意外と楽しみだと思っている自分がいる。
だって、俺には郷田や真昼、一ノ瀬、村瀬、白雪さん(相手はどう思ってるのかは悩ましいが)という友達ができた。
友達がいる時の行事は楽しいとよく聞く(ラノベ)。
人生初めての友達と一緒の林間学校。
めちゃくちゃ楽しみだ!
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