第180話 買い物
翌日の10時、俺はロビーである人物を待っていた。
5分ほど待っていたら、その人物はエレベーターを降りて来た。
「おはよ」
「お、おはようございます……」
そう、その人物というのは白雪さんだった。
先日、俺は彼女の買い物に手伝うという話をしてしまったわけで、それを突然『やっぱりやめておこう』なんて言うわけにもいかず、こうなってしまった。
こんなに気まずいのに……。
買い物を手伝うと言った翌日に、俺がエロいラノベを白雪さんの部屋に忘れていたらしく、そこから白雪さんが若干俺から距離をとっている気がするんだが……。
てっきり白雪さんから『やっぱりやめておきましょう』とか『宮下さんたちに頼みますね』とか言われるかと思っていたんだがな……。
やっぱり、ほんとうにラノベの中身を見ていないのか?
いや、そんなはずはない!それなら、どうして俺の隣で歩いてくれないんだ?!白雪さんが俺から距離をとるってことは、やっぱりそういうことなんだよな……。
今後はなるべく嫌われないようにしよう。
「今日は何を買いに来たの?」
「そうですね……。いつもは1週間分の献立をその場で考えるですが、今日はある程度決めて来たのですぐに終わるはずです。それに、量も少しは軽くなりますし。本当ありがとうございます、あいのことからなにまで……」
あれ?献立を決められたってのは、俺に気を遣ってくれただけだよな?!なるべく俺とは一緒にいたくないとかそういうのじゃないよな?流石に考えすぎ……だよな?
若干不安に思いながらも、軽く相槌を返す。
スーパーに着いた後は、2人で歩きながら欲しい食材などをとってカゴに入れていく。
俺の持ってるカゴにはみんなの共有食料。そして、白雪さんのカゴには白雪さんとあいちゃんが自分たちの部屋で食べる食材などだ。
俺は数日分の食材なので一カゴで収まる量だったが、白雪さんの方は1週間分ということもあり、カートを押し、カゴを二つ利用していた。
いつもなら、カゴ一つに収まる買い物を二回行ってるんだよな。すごいな……。
買い物を終えた俺たちは、2人とも両手に買ったものが入った袋を持ち帰った。
やばい、普通にしんどいな。
重い……。
次はもう1人連れてこよう。
◆
本当に森木さんは優しい人だなあ。
私は特に何もしてないのに、嫌な顔一つせず買い物にまで手伝ってもらった。
それに、宮下さんや一ノ瀬さんまで紹介してもらったし、私に初めて友達ができた。
ほんとうに優しい人だ。
大切にしないとな、大事な友達を。
でも、やっぱり隣に歩くのはまだ緊張する……。
いつか、森木さんの隣を歩ける時が来ればいいのになぁ……。
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