第177話 テーブル選別

俺たちはショッピングモールに入り、家具屋に向かう。


改めて思うが、このショッピングモールには全てが揃ってる。


ここの近くに住んでたら、何もかも揃ってるから困らないだろうな。


俺たちは家具屋のテーブルコーナーに向かう。


色から形まで様々なテーブルがあり、ちょっと楽しくなってきた。


「ねえねえ、これなんかいいんじゃない?」


真昼がみんなを呼び、俺たちはそっちに視線を向ける。


「うん、色とかはとっても可愛いねー。でも」


「流石にデカすぎるな」


俺と一ノ瀬の言葉で却下される。


仕方がない。こんなテーブルを置けるのは一軒家みたいに部屋が広くないと置けない。


俺たちはマンションで、そこまで広いってわけではないからな。 


真昼は少し寂しそうに俯く。どんまい。


「お兄ちゃん、これなんかは?」


あいちゃんが呼ぶ。俺たちがそっちに視線を向ける。


「うん……。たしかに可愛いね……」


「でも、これはちょっと小さいな……」


あいちゃんの提案したのは、俺の部屋にあったやつとほとんど同じだった。


買い換えるのに、同じものを買っても仕方がない。


あいちゃんが悲しそうな顔をしているが仕方がない。


「あ、これなんかちょうどいいんじゃない?」


次に提案したのは一ノ瀬。


一ノ瀬が提案したからには安心だろう。


一ノ瀬は真昼ほど抜けてもないしな。


俺は期待を込めて視線を向ける。


「おお!!」


そこには白色で俺の部屋にあるやつよりかは少し大きなテーブルがあった。


完璧と言うべきテーブルだった。


「このテーブルが嫌な奴はいるか?俺は特に嫌なところなんてないし、嫌って人がいないならこれでいい?」


「問題なーし!」


「オッケー!」


特に否定の意見も聞こえなかったので、決定だな。


俺は商品の入った段ボールをとり、レジに向かおうとする。


「あ、あの……」


そんな時、白雪さんが俺を止めた。


「ん?あ、このテーブル嫌だった?」


「あ、いや、そう言うわけではないんですけど……」


そう言ってある場所を指差す。


俺は自然とその方向に視線を向ける。


「…………」


俺はそっと元々あった場所に返した。


「どうしたの京くん?このテーブルにしないの?」


一ノ瀬が聞いてきたので、俺はさっき白雪さんに指差されたところを指差す。


「さ、さんまんえん?!?!?!」


そう、この机の値段が完全に予算オーバーだった。


そのあと、みんなで考えて、5000円くらいのテーブルを買った。


危なかったー。値段を見た時は冷や汗が止まらなかったぜ。

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