第172話 発表

その日からバイトが始まるというわけではないので、軽く挨拶をして帰ることにした。


見た感じ、30代から40代くらいのおっちゃんと、白雪さんと同じかそれ以上かお姉さんらしい人、おそらく大学生なんだろう。


2人とも優しそうな人でよかった。


帰りの電車に乗った後、一気に疲れがのしかかってきた。


きっとめちゃくちゃ緊張してたんだろうな。


コミュ障の俺からすればよく頑張ったと言っていいだろう。うん、よく頑張った。


それにしても、白雪さんがいなかったら俺は合格できてたのかなあ……。


今回に関して言えば、面接の前から合格が決まってたっぽいし、これはみんなに『面接合格したぜー』って言えるのだろうか?


うん、バイト先が決まったぐらいにしておこう。


自宅に帰ると、ちょうど2人が晩ご飯を食べている最中だった。


今日はちゃんと鍵も閉まっていた。


「ただいまー」


「「おかえりー」」


俺は自分の鞄を床に置き、2人に発表した。


「バイト、合格でしたー!」


あ、いきなり言っちゃった。


わかる?嬉しいことってやっぱり言いたくなっちゃうんだよー。


「おめでとー!すごいじゃん!」


拍手をして褒めてくれる真昼。


中身は子供っぽいところもあるが、見た目はどう見ても大学生ぐらいの美人お姉さん。


めっちゃ照れそうになった。


「すごいね。でも、面接の合否なんて、その日にわかるんだね。てっきり数日後とかに発表されるものなのかと思ってたよー」


え?そうなの?俺、墓穴掘っちゃった?白雪さんのおかげで面接合格した疑惑バレちゃうんじゃ?!


「ま、まあ、なんかちょっと話をしたら、それじゃあ合格だって言われたんだよね。バイトは夏休みぐらいからのスタート予定」


嘘はついてないからな。(白雪さんをナンパから守ったっていう)話はしたからな。うん、俺は正直者。


「それじゃあ、今日は京くんの面接合格記念日って事で。ささ、オムライス作っておいたから一緒に食べよ」


「お、おう」


まだできてすぐだったのだろう。全然温かい。


オムライスという、懐かしい思い出も思い浮かべながらも俺は飯を食べ進めた。

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