第165話 目覚め
ふと目が覚めた。
いつもは目が覚めてもかなり眠たいことが多いのに、今日はなぜだろう……。ものすごくスッキリとしている。
あれ?どうして私はベッドで寝ているの?
床で布団を敷き寝ているあいの姿を見て思った。
そこで思い出した。
そうだ、森木さんだ。森木さんが私に寝るように言ったんだった。
それで寝て……今何時なんだろう。ベッドから降り、自分のスマホを取る。
画面を見たら時間はちょうど日を越すような時間帯だった。
ふと廊下の方に視線が向けられた。明かりがついていた。
またあいが付けっぱなしにしてたのかしら。いや、今日に限っては森木さんがつけっぱなしにしていたのかもしれない。
ひとまず消しに行かないとね。私は廊下へと向かった。
「……え?」
そこには、読書をしている森木さんの姿があった。
彼も私に気づいたのだろう。こちらに視線を向ける。
「あ、起きましたか。ちゃんと寝れましたか?」
森木さんはすぐに私の心配をしてくれた。本当に優しい方なのだろう。
「は、はい……。でも、どうしてこんな時間に?」
今の時間は12時。普通に考えたら、人の家にいるのはおかしい。
「いや、8時頃には帰ろうと思っていたんですけど、あいちゃんが居てくれって言って。白雪さんが起きた時何すればいいかわからないしって。で、まあ、無許可で家に泊まろうとしていたことは何というか謝罪をしなければいけないわけで……」
森木さんは話しながら自然と正座のような姿勢になり、両手を床につける。いわゆる土下座をしようとしているのだろうか。
「や、やめてください。むしろ、お礼を言いたいのは私の方で。と、とにかく、その謝罪なんて考えないでください」
「そ、そうですか……?」
森木さんはゆっくりと楽な姿勢に変える。
「あの……、少し話があるんですが」
森木さんは少し真剣な表情に変わり、しっかりとこっちを見て言った。
「は、はい」
私も森木さんの方向を見る。
ぐぅうううーー。
しっかりと森木さんと視線が合った。
それに、私のお腹が鳴ってしまった。
「あ、そりゃそうですよね。晩ご飯、白雪さんの分も作っておいたんで、食べながら話しましょうか」
「す、すいません……」
あまりの恥ずかしさに、死にたいとさえ思ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます