第159話 不審者?!
さて、何をしようか。
もちろんタバコを吸うわけでもないでもないので、何もすることがない。
不幸なことにスマホを白雪さんの家に置いてきてしまった。
こんなところ人に見られたら、間違いなく変な人扱いされるよなー。だって、人の家の前でただ立ってるだけなんだよ?!めちゃくちゃ怪しいじゃん。
頼むから白雪さんが着替えるまで誰もこの階に人現れないでくれよー。
…………あ。
「ど、どうも……」
「どうも……」
運悪くお隣さんであろう人がエレベーターから出てきてしまった。
当たり前の如く俺に気づき、軽く挨拶を交わす。
絶対この人、俺のこと変なやつだと思ってるだろうなー。めっちゃこっち見てくるし。
「あ、あの……」
「は、はい」
あれ?これって結構やばい状況?!俺のこと不審者かと思って話しかけてきた的な?!
これってちゃんと誤解を解かないと100当番通報されちゃうんじゃ?!
俺は必死に頭の中でこれから言うことを考える。
しかし、お隣さんからは思っていたこととは違ったことを聞かれた。
「小春ちゃんのお友達さんですか?」
「…………え?」
思わず聞き返してしまった。聞き間違えかな?
「小春ちゃんのお友達さんですか?」
あ、聞き間違えじゃなかったわ。
でも、これは悩ましい質問だな……。
俺と白雪さんは友達なのだろうか……。
学校でも話したりするから友達だとも言える。
しかし、話している内容は、今日妹のあいちゃんに会うことについてだ。
ってことは、あいちゃんの願いを叶えるために嫌々俺と話をしているのかもしれない。
うーん。どう言えばいいんだろうか。
考え抜いた結果、俺が出した答えは、
「はい、数日前から白雪さんとはお話しなどさせてもらってまして」
『友達』と言った単語は出さずに友達がするっぽいことを言った。俺、嘘は言ってないからな!
数日前ってのは遊園地から数えれば4日前からだし、ちゃんと学校では(あいちゃんについてのことで)話もしている。
「そうなんですか。小春ちゃん、いつも帰りが遅いし、妹のあいちゃんとは性格も違うから友達ができてるのか不安でね。これからも小春ちゃんと仲良くしてあげてね。それじゃあ、この辺で」
ちょっとぐらいは彼氏とかと間違えてくれることを小指の爪ぐらいは祈ってたけど、全く思われてなかった。べ、別に悔しくなんてないんだからね!
「お兄ちゃーん。お姉ちゃんがなんかもういいって言って来てって言ってきたから言いに来たよー♪」
なんか『言って来て』が何回も出て来て、この状況をわかってなかったら、理解できなかっただろうな。
「わかった。それじゃあ、中に入ろっか」
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