第158話 へびーちゅもーかー

「ひとまず休んでください」


俺は白雪さんを支えて状態で言う。


「いや、でも……、ご飯作らないといけないですし……」


そう言って、再び立ち上がろうとする。しかし、立つのがやっとの状態。


「俺があいちゃんの分まで適当につくりますんで大丈夫ですよ」


「え?」


わかるよ。『え?料理できるんですか?』って言おうとしたんだよね。大丈夫、一ノ瀬が現れるまではなに一つ作れなかったから。


「実は俺、一人暮らししててさ。衝撃を受けるかもしれないけど、この部屋の上の402号室で暮らしてるんだ」


「……え?……あっ」


俺からの衝撃の告白にまたしてもバランスを崩し、またしても俺が支える。もちろん胸は触ってない!


「まあ、そのことはまた今度話すとして、ひとまず今日は休んだ方がいいと思う」


「で、でも……」


白雪さんは自分の身体が動かないということに少し苛立っているように見えた。


「それじゃあ、自分でベッドまで行くか、俺が無理やり連れて行くか、どっちがいいですか?」


こうでも言わないということを聞かないだろう。


「ほ、他に選択肢は……?」


「ありません。10秒以内に選んでください。選ばないと、無理やり連れて行きます。十、九、……」


あれ?なんか喋ってて思ったけど、これって十分セクハラっぽくない?


セリフだけ考えたら、『さっさとベッドまで行け!自分で行かないなら、無理やり連れてくぞ!はっはっはー』だよ?十分セクハラだ。も、もちろん、俺にそんな気はないからな!


「わかりました。自分で行きます。あの……、服を着替えたいので……」


「あっ、はい。わかりました。では、着替えが終わったら呼んでください。その時は、あいちゃんを呼びにこさせる係にしてください。白雪さんは出来る限り動かないように」


俺は箱を見ながら色々遊び道具を掘り出しているあいちゃんの方を見ながら言う。


「はい……。わかりました……」


そう返事したので、俺はドアの方へと向かう。


「え?!お兄ちゃん帰っちゃうの?!」


「違うよ。5分だけちょっと外にいってくるだけだから。すぐ帰ってくるからね」


5分有れば足りる……よね?俺は女子の着替えとかよくわからないから、適当に言ったけど、大丈夫……だよね?


「あ、分かったー!へびーちゅもーかーってやつだ」


『ヘビースモーカー』?!どこでそんな言葉知ったんだ?!てか、高校生が堂々と外でタバコ吸う訳ないでしょ。一応犯罪だからね?


「ん?!バレてしまったかー。だから、すぐ帰ってくるからね」


都合がいいので使わせてもらった。あいちゃん、他所で俺がヘビースモーカーだ!とか言わないよね?


そう言って、俺は家の外に出た。

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