第156話 あれ?ここって……。
「どうかしましたか?」
マンションの前で棒立ちしていた俺に白雪さんが声をかけてきた。
「い、いや、なにも」
なくねえよ!ここ俺たちも住んでるんですけど?!
どうしよう……。別に言ってもいいよね?俺が住んでることぐらいは言ってもいいのかな?
俺はとっさに言ってしまったことに少し後悔を持ちつつ、白雪さんについていくことになった。
見慣れたロビー。今朝も見たな。
そして毎日乗ってるエレベーターに白雪さんと2人で乗る。
でも、本当不思議だよな。もうここに引っ越してきてから3ヶ月ぐらいになるのに、俺白雪さん見た覚えがないぞ。
実に不思議なこのもあるもんだ。
白雪さんがエレベーターで階数のボタンを押したので見ると、3階のところが赤く光っていた。
どうやら1階下だったらしい。
3階でエレベーターが止まり、俺と白雪さんはエレベーターから降りる。
俺たちの住むマンションは1階に10室ある。それが6階建てなので、俺たちの住むマンションは合計で60室の部屋がある。
「こっちです」
俺は白雪さんの部屋についていく。
そして立ち止まり、部屋の鍵を開ける。
俺は白雪さんがその部屋で立ち止まったとき、かなりの冷や汗を感じてしまった。
あれ?ここって302号室ですよね……?
たしか俺の部屋って402号室だった気がするんですが……。気のせいなのかな。
いや、間違いない。ここは俺の住んでいる部屋の真下の部屋、302号室だ。
彼女は部屋の鍵を開けたあと、こちらを向いた。
「あの……本当に今日はありがとうございました」
「いえいえ」
いえいえ俺もただ家に帰宅したようなものなので気にせず。
「妹はまだ小学二年生で私と違ってかなり騒がしいと思いますが、どうぞよろしくお願いします」
あれ?彼女と結婚の挨拶に来るときの彼氏に優しい両親が言うようなセリフに聞こえてくるんですが?俺たち、同級生ですよね?
「は、はい。大丈夫ですよ」
俺からのその返事を聞き、彼女はゆっくりと扉を開けた。
俺は白雪さんの部屋に入ったが、特に何とも思わなかった。だって?毎日これと同じ構図の部屋見てますからね。
俺が靴を脱いでいるときだった。
「わあああああああああああああああ!!!!!」
前方から小さな女の子が走ってきた。
そして、そして……俺に抱きついてきた。
なにこの子?!めちゃくちゃ可愛いんですけどー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます