第154話 俺たちの仲
「なに、お前木曜白雪さんとデートすんの?」
昼飯で郷田を連れて逃げたところまではよかったものの、郷田からの事情聴取が始まっていた。
でも、俺は郷田は信頼しているので本当のことを話すと決めている。
「んなわけあるか。逆に聞くけど、普通に考えて俺が白雪さんと付き合えると思うか?」
白雪さんが俺に話しかけてくるのは妹さんが俺に会いたいと言っているからなのと、バイトの件についてだけだ。
「普通にあり得るんじゃないか?だって宮下ちゃんと村瀬はお前のこと好きなんだろ?だったら白雪さんもあり得るんじゃないか?まあ、遊園地とかで会ってなかったら間違いなくお前たちは関わってなかっただろうな」
「だろ?実はな、遊園地で助けたときに彼女の妹さん探しをしたんだよ。それで、妹さんが俺に会いたいって言ってて」
郷田だけは味方にしておかなくてはいけない。
だから、俺はちゃんと説明した。
「なるほど、じゃあ木曜日のデートって妹さんと会うことだったのかよ」
「そういうことだ。それにデートじゃねえし」
「はいはい。でもさ、白雪さんの家でって普通にえぐくない?!多分学校の誰も白雪さんの家になんて入ったことないぜ。もしかしたら、白雪さんはお前に気があるのかもしれないぞ」
「違えよ。妹さんが小二だからだと思うぞ」
「くー、羨ましいぜ!一ノ瀬ちゃんだけでも残しておいてくれよ?」
俺の手を握って言ってくる。
「気持ち悪いな。あ、林間学校のことだけど、真昼と一ノ瀬、村瀬が班に入ることになった」
俺は握ってきた手を振り落として言う。
「おお!!さすがだな!京と仲良くなっててほんとよかったわー」
郷田は手をパチパチ叩きながら言う。
「お前、俺と仲良くしてるのって、絶対真昼とかがいるからだろ」
「ソ、ソンナコトナイヨ。イチワリグライハケイトキガアウトオモッテルヨ?」
カタコトで目を逸らしながら言う。
しかも、内容聞いたら9割が真昼たち目的ってことじゃねえか!
「もう俺たちは終わりだな」
俺はそう言って立ち上がる。
「ああー、悪かったって、嘘だって。ほんとは半分ぐらいしか思ってないって。本当に京とは結構あうと思ってるって」
半分は真昼たちなんかーい!
頭の中で思いっきり突っ込んでしまった。
郷田は俺に腰に抱きついてくる。
俺たちの仲が終わるのはそう遠くないのかもしれない。
「あれ?なんの話してたっけ?」
「あれ?俺もよくわからなくなってきた」
「あ、そうだ、まあ、俺と白雪さんはそういった関係だ。郷田だけでも信じてくれってことだ」
「はいはい」
ニヤニヤしながら言う郷田。
こいつ絶対信じてないだろ!
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