第153話 大騒ぎ

翌日の昼休み、俺たちのクラスは大騒ぎになっていた。



何故かと言うと、白雪さんが来たから。


「はあ?!あの白雪さんが俺たちのクラスに?!」


「てか、なんのようなんだろう。白雪さんって友達とかいないよな?」


「うん、そのはずだと思うけど……。でも、誰に用が……げっ、あいつじゃん」


「あいつ、もしかしたら大金持ちなんじゃね?だって、そうでなかったらあり得ねえだろ」


そう、彼女がこの教室に来たのは、俺に用があったからだ。


それを知ってさらに腹が立っている奴らが大半だ。


おい!俺は裕福か貧乏で言えば、間違いなく貧乏に当てはまるぞ!毎月の仕送りは結構カツカツだからな!もし一ノ瀬がいなかったら、俺は毎月満足いくラノベを買えてないぞ!


だからバイトしようとしてるんだよ!俺は金が欲しいんだよ!


最近は真昼たちと登下校を共にしているため、クラスからの視線はやばい。俺の味方が郷田以外いない。


もしこのクラスで『このクラスで一番嫌いな人は誰?』って質問があったとしよう。おそらく35票が俺だ。それぐらい俺は嫌われている。


郷田がいなかったら、俺は毎日いじめられていただろうな。郷田ナイス!



「あの……森木さん、よければ連絡先教えてもらえないでしょか。今後のこともありますし、連絡先を知っておいた方がいいかと思うんですけど」


周りの話になんの反応も示さず、俺に言ってくる。


「あ、そうだね。はい、ラインで大丈夫?」


俺はラインのQRコードを見せながら言う。


「は、はい。あの、私……交換の方法が……」


もじもじとしながら言う白雪さん。可愛い。


「あの、ちょっとだけスマホ借りてもいい?」


「は、はい。どうぞ」


俺は「ありがと」と言って、彼女のスマホを受け取る。


そして、ラインのアプリを開く。


見ると、友達の欄には『愛彩』とだけ書かれていた。おそらくこの子が妹さんなんだろう。


それよりも、友達が1人ということに驚いた。


学校で友達がいないってのは本当だったようだ。


俺はなるべく早く終わらせてから返す。


「ありがとうございます。それと、あの件なんですが、木曜日の放課後、私の家でも構いませんか?」


おい、なんでわざわざ『あの件』なんて曖昧な言い方したんだよ。また、クラスの連中が騒ぎ出したじゃねえか!


「え、どういうこと?!あの2人付き合ってんの?!あいつ、もしかして四股?!」


んなわけねえだろおおお!!!


「うん、ありえるな……。あいつ、もしかしたら、どっかの偉いさんの息子なのかも」


んなわけあるかあああ!!!こっちは貧乏人じゃああああ!!!


「それで木曜日は白雪さんとやるのかよ。えぐいな……」


はあ……。もう突っ込むのもしんどいわ。


「うん、全然それでいいよ。それじゃあまた詳しいことはラインで言うからさ」


「は、はい……?わかりました。それではまた」


そう言って彼女は教室を後にした。


うーん。クラス全員の視線を集めることになってしまった。


ヘループ郷田!


「郷田、飯行こうぜ!」


なんとか逃げることに成功した。

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