第152話 勝利の使い道

「ただいまー」


「おかえりー」


「おかえりー、京くんグッドタイミング!もうちょっとでご飯できるよー」


なんとなく言ってみたら、普通に「おかえり」って言われてちょっと嬉しかった。


てか、なんか同級生ってよりかは家族みたいになってきてる気が……。


「ほーい。てか、お前たち女子だけなんだから部屋の鍵ぐらい閉めとけよ。誰かが入ってくるかもしれないし」


合鍵を持っているのでいつでも入れるのはいいが、女子だけなら部屋を開けておくのは危険だと思う。


アニメだったりラノベならたまに誰かが入ってくるシーンあるし。


「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。それはドラマとかアニメの世界だけ。そんなことほとんどないよ」


「そ、そうか……?でも、一応閉めておいた方が……」


ガチャ……。


「「「えっ?」」」


今、ドア開ける音聞こえたよな?


だんだん足音が大きくなっている。


嘘だろ?!こんないきなり入ってくるの?!


2人を見ると、かなりビビっている。


おお!一ノ瀬がびびってるなんて初めて見たわ。


ってか、そんなこと考えてる場合じゃねえ! 


ど、どうすればいいんだ?!


ガチャ……。


とうとうリビングへの扉が開かれる。


「京くん!私の勝ちだよー!」


「…………は?」


扉を開けて入ってきたのは、赤髪のギャルみたいな女……。村瀬だった。


「「「びっくりしたー」」」


見事に3人綺麗にハモった。



「てか、なんでインターホンも押さずに入ってくるだよ!めちゃくちゃビビったじゃねえか」


「だって脅かそうと思ったから」


ニコニコしながら言ってきた。一瞬しばいてやろうかと本気で思ってしまった。


「うん、京くんの言う通りだったね。これからはちゃんと鍵は閉めるよ」


まだ落ち着きが戻っていない一ノ瀬が言う。


あれ?これって結果オーライ……なのか?


「で、あーちゃんはなんで来たんだ?『勝った』って何が?」


「テストの勝負のやつ。私77点だったから私の勝ちでしょ?で、何にするか決めたから言いにきた」


「それだけ?!明日でもよかったのに。で、何にしたんだ?」


「うん!それはね、林間学校のとき、私とおんなじ班になるってことで」


なんか似たようなことを郷田にも言われた気がする。


「あ、ああ、了解。まあ、俺今のところ郷田以外全く決まってないしな」


「あ、私も!今回のテスト学年で283位だった。だから私の勝ちだよね。それで、私も京くんの班に入る」


村瀬と話していたら、突然真昼も叫び気味に言った。


「お、おお、わかった」


そういえば郷田に一ノ瀬と真昼を入れろって言われてたな。


「じゃあ、来未も入って俺らの班って事でいいか?」


俺が言うと、一ノ瀬は若干ニヤッとした。ん?何故だろう……。嫌な予感がする。


「わかった。じゃあ京くんから私への命令はそれって事で」


「ええ?そんなことは……」


またしてもニヤリとすると一ノ瀬。


「なんだ、京くんは一体私にどんな命令する気だったのー?もしかして……エッチな……こととか?」


「違えよ!わかったよ!それでいいよ!はい、この話終了」


やっぱり一ノ瀬には勝てる気がしない。


そのあと、村瀬も俺たちと一緒に晩ご飯を食べた。

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