第134話 高速妹探し
「本当にありがとうございました!」
今あったことを簡潔にまとめますと……。
遡ること5分前。
「さて、妹さん探しますか」
「そうですね。本当にありがとうございます」
俺たちは妹探しを始めようとしていた。
「で、妹さんはどんな子ですか?服装とか教えてもらえれば探しやすいと思いますけど」
妹を知らなかったら妹探しは全く始まらない。
「えっと……、私と同じ髪色で小学二年生です。それで服装は白のワンピースだったと思います」
彼女は綺麗な
「わかりました。それでは探してきます」
そう言って席を立った時だった。
「……ん?」
俺から見て斜め右。えっと……、彼女の言った通りの女の子がそう遠くない自動販売機の前で立っている。俺がさっき買った自販機だ。
「ちょっと待っててくださいね」
目の前に99%目当ての妹がいるんだから、今彼女をこの場所からは話してはいけない。
一声かけてから俺は自販機の前に立つ女の子に向かって歩き出す。
歩きながら外観の確認から。
えっと、まずは小学二年生ぐらいか。小学二年生よりかは少し幼く見えるがまあオッケー!
次は……、彼女と同じ白髪か。うん、完全一致!
最後は白のワンピース。俺の考えるワンピースと世間の考えるワンピースが同じなら、100%白のワンピースだ。
ふむ、外観チェック完璧。
あとは、彼女が迷子なのかどうか。
俺はそっと女の子の隣にしゃがんだ。
「なにか困ったことある?もしかして迷子とかかな?」
女の子は目から涙を流していた。うん、迷子で間違い無さそうだ。
「喉渇いてない?ここにリンゴジュースがあるんだけど、もしよかったら」
俺が女の子の前にリンゴジュースを出すと、彼女は一度俺を見た後、小さくお辞儀してからリンゴジュースをとった。小学二年生にしては礼儀正しいな。俺と同じぐらいか、それ以上か。
きっと喉が渇いていたんだろう。ごくごくと勢いよく飲んでいく。
よく見ると、彼女と同じようにとっても綺麗な顔をしている。まだ可愛いって感じだけど。
俺がロリコンだったらやばかったな。
リンゴジュースをたくさん飲んだら落ち着いたのだろうか。流していた涙を吹き出した。そして、小さく呟いた。
「まいご、に、なった……」
ちゃんと迷子になったと言えるのは普通にすごいと思った。俺だったら黙ってそう。
「うん、お姉ちゃんのとこ行こっか」
「うん」
そのあと、俺と女の子は手を繋いで彼女のもとへ向かった。
なんか、へんなこと思ったんだけど、誘拐犯ってこんな感じで子供を誘拐していくのかな。
俺って意外と誘拐テクニック高いかも。
こうして妹探しは5分で終わった。いや、見つけるまでには10秒かそこらだろう。
なんか知らんけど、妹さんにも懐かれてしまった。
それで、彼女に一緒にご飯でもと誘われたが、忘れてはいけない。30分くらい待たせてるんじゃないか。早く戻らないと!
俺は彼女の誘いは「友達を待たせていて。それじゃ」と言ってきた。
まだ真昼は彼女と言うわけではないからどう説明すればいいか困ったが、困ったときはみんな友達だ。
早く戻らないと!さっさと飲み物持って。
あ、2本ともあげたんだった。
仕方なく女の子が立っていた自販機でお茶を2本買った。今考えてみれば、食事にリンゴジュースは普通おかしい気がする。
てか、名前とか聞くの忘れたな。まあ、いっか。今後会うなんてこと無いだろうし。
俺はダッシュで真昼の元へ向かう。
「げっ……」
さっきまでナンパしてた男3人が、今度は真昼を囲んでいるのであった。
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