第114話 テスト前日なのに……

テスト前日。


世の高校生は翌日のテストに向けて大きな1日だろう。テストに向けての。


しかし、今日はある意味大きな日になることは間違い無いだろう。



それは、学校も終わりいつも通り村瀬の家で勉強しているときに起きた。うん、今日はちゃんと俺も勉強してるからな。


”ガチャ”


うん、ドアが開く音。えっ、どうしてだ?!ここにはちゃんと4人ともいるし、今ドアを開けて入ってくるやつは不法侵入者ということになる。


考えている間にリビングの扉も開かれた。


「ただいまー」


そうして現れたのは、金持ちそうな女性。


「お、おかえり」


「お、愛月ただいま。3週間ぶりぐらいかな」


「うん……」


村瀬はその相手と話をしている。


ん?どういうことだ?普通に考えて……お母さん?


「それにしても、友達連れてきてたんだね」


「うん、テストまではここで合宿みたいなのをしてるんだ」


「てことは、あの男の子が愛月の……」


「あぁぁぁぁぁ!お母さんちゃんと後で紹介するからさ」


村瀬のお母さんが俺の方に指を刺して何か言おうとしたところでそれを村瀬が止めた。


「いやー、ラッキーなときに帰ってきちゃったね。まあ、ちょっと休ませてもらうね。今日の夜にはまた行かないとだからさ」


「うん……」


村瀬のお母さんはそう言ってソファーに寝転び、寝た。


村瀬はそれを確認した後、全員荷物を持って二階へ上がった。



そして今、村瀬の部屋に集合している。


なぜか村瀬は正座をしている。そして、口を開いた。


「今から謝らないといけないことがあります」


真剣な顔でいう村瀬。俺たちはそれを静かに聞く。


「はあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


真っ先に反応したのは真昼だった。


まあ、分からないでもないが。


村瀬が言うにはこういうことだった。


村瀬は少しでも母親にかまって欲しかった。


そして、俺と言う好きな人ができた。


村瀬はこれならいけるかもと思った。


そして、母親に一通のラインを送った。


『彼氏ができました。』と。


「で、でもどうするんだよ。俺たち付き合ってるわけでもないし」


「そうなんだけど……。けーちゃん、今日1日だけ私の彼氏になってくれないかな?」


「いや、それはいいんだけど、ここで嘘ついちゃうと後々めちゃくちゃめんどくさいことになると思うんだけど」


ソースは俺。これまで嘘をついていろんな事件が起きたからな。少しは反省してる。


「それは多分大丈夫。あの人、私の言ったこととかすぐに忘れるから。次来るときにはきっと忘れてるだろうし」


「なるほどな。まあ、こうなってしまった以上逃げられないしな。でも、明日はテスト当日だぞ?お前は大丈夫なのか?」


そう、俺は一応なんとなくは勉強出来ているのでいいが、こいつは違う。欠点候補なのだ。


真昼の顔を見ても大丈夫と言う顔はしていない。


はあ、やるしかないのか。


「お前は勉強しとけ。俺だけで行ってくる。お前は少しでも明日の教科の勉強しておけ。明日は理科があるからな」


「で、でも、大丈夫なの?」


「余裕だ。まあ、終わったら帰ってくるよ。もし、晩ご飯になっても帰ってこなかった時は、その時は頼むな?」


ここは一ノ瀬に向かって言う。一番頼りになるからな。


一ノ瀬も親指を立てて理解したと合図する。


よし、では行くか。俺は村瀬の部屋から出る。


やばい……。正直、めっちゃ手が震えるんですけど。

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