第113話 挑戦状

テスト2日前になった今日も全くやる気が出ないままにいた。


結局、ちょっと教科書をぺらぺらめくって時間をつぶす。


そして、ちょっと時間が経ったら村瀬の部屋に移動してラノベを読む。晩ご飯ができるまで。


俺ここに何しにきたんだっけ?


ふと思ってしまう。


だって、ここに来てから一回も質問されてもないんだもん。


これなら、俺たちここに泊まらなくても、家で勉強すればいいんじゃないの?


今ではこんなことしか頭にない。


家でならどれだけサボっても何も言われないけど、ここでラノベを読んでる時は何故か変な気分になる。


今すぐにでも帰りたい。


まあ、明日はテスト前日だから少しは勉強するかもだけど。いや、ここで言っておくと怖いから前言撤回します。


そして、そのまま時間は進み、昨日と同じように晩ご飯を食べた後もラノベを読んでいた。


しかし、今日は昨日とは違って10時頃に一ノ瀬に村瀬の部屋にやってきた。手には社会の教科書を持って。


俺は新たに読もうとしていた本を閉じた。


今日読んだのは昨日の続きと新たに一冊。


最後に読もうと2、3ページ開いたやつはノーカンってことで、まあ、1.5冊ってことで。


「京くん、1人で勉強出来ないなら一緒に勉強してあげるよ」


一見優しそうに声をかけているように見えるが、実際には違う。


何やら不気味にニヤニヤしており、若干怒りの色見える。


なんかセリフと顔が一致していない。


俺は「はい」と返事をするしかなかった。いや、やらないという選択肢を作ってくれていないようにも思えた。


「京くん、もう完璧なんでしょ?そうだよね?テスト2日前にラノベ読んだりしてるんだからね?」


「いや、完璧ってわけじゃないんだけ……です」


一ノ瀬の顔を見たら自然に敬語になってしまった。


「まあ!余裕なんだったら、私と問題の出し合いしようよ!できるよね?!」


「は、はい……」


一ノ瀬は教科書をぺらぺらめくる。どうやら始まってしまったみたいだ。


俺たちの学校の一年は現代社会を学んでいる。


まあ、教科書は軽く見たけど、さすがに一ノ瀬と張り合える自信はない。


「それじゃあいくよ、第一問!これは基本すぎる問題だけど、大日本帝国憲法が公布されたのは何年のいつ?」


なるほど……。てか、一問目なのに日付まで聞かれるの?!まあ、たまたま頭に入ってたからいいものの……。


「1889年の2月11日」


「せ、正解……。じゃあ次!えっと……、じゃあ日本国憲法の第9条の全文言って」


問題の出し合いではなかったのだろうか。てか、全文言えなんて問題絶対出ない自信があるんですけど。えっとたしか……


「えっと……、日本国民は、正義と秩序を基調とする……」


あっているのかは分からないけど一応最後まで言うことができた。それに、一ノ瀬を見る限りあっていたと言っていいだろう。悔しそうにしている。



その後も無限に問題を出し続けられた。まあ、八割ぐらいは答えれたかな。


結局一ノ瀬からの挑戦状を受けた俺は、八割正解に終わった。これができているのかいまいち分からないが。


まあ、これである程度覚えてることは証明できたかな。


そして、今日も終わっていく。


よし、明日はちゃんと勉強するぞー!

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