第94話 下校
衝撃のラインが届いてから数時間経ち、放課後となった。時間は3時半ぐらいだ。
5時まではまだ1時間半もある。
落ち着いて帰ろう。
「けーちゃん帰ろー」
げっ!あのやろう……。この状況でよく俺に話しかけたな。それに、めっちゃ笑顔だな。
って、こいつは知らないんだったな。俺に殺害予告が送られてきていることを。しかも、村瀬も無関係ってわけではないということを。いや、今回に関しては、俺が完全に悪いな。嘘ついちゃったんだし。
俺がバレないように真昼の方を見ると、明らかに挑戦的な目をしている。
なんでだよ?!なんでそんなに挑戦的な目をしてるの?!喧嘩したら間違いなく負けるよ?!君体力ないでしょ?!
「わ、悪い。今日はちょっと1人で帰るわ」
話を遮るように俺は話した。「あーちゃん」とは死んでも言わないよう注意を払った。
これで一緒に帰ってたら、また怒るかもしれないし。
「え、でも、荷物はどうするの?私の家にあるんじゃ……」
だから、喋るなって!真昼の顔がものすごく険しくなってるじゃん!
もー怖いよー。
「ま、また取りに行くよ。少しの間、置いておいてくれ。それじゃあな。また明日」
俺は必要最低限のことだけを残し、早足で教室から出た。
さすがにないとは思うけど、村瀬のことだし、俺の荷物を捨てるなんてことされたら困るからな。
今は帰り道。今日の5時から俺の謝罪が始まるのだが……、歩いている俺の隣には、2人の女性がいる。
どうすればいいんだ?こういうときは、何か話を振った方がいいのだろうか?ダメだ。この状況で話しかける言葉なんて浮かばない。村瀬についての話はなるべく他の人には聞かれたくないから、部屋で話したい。
そのため、この場、この状況で話すことなんてない。
ってか、なんで俺の隣には2人はいるの?!話し合いは5時からだよね?!
長い沈黙の下校も終わり、部屋の前に来た。
あれ?ここから学校までって、5キロぐらいあったっけ?めちゃくちゃ歩いた気がするし。
「それじゃあ、また5時に。ご飯のセットだけしといてね」
一ノ瀬がそれだけ言って、部屋に戻った。真昼も一ノ瀬に部屋に入っていった。
俺は部屋に戻って、ベッドに倒れ込んだ。
5分ほど固まっていたが、起き上がり、ご飯のセットだけしておいた。5時半に。30分で話が終わるかわからないけど。
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