第86話 告白されました。

どういうことだ?俺は今告白されているのか?


いや、たしかに聞こえたぞ。『大好き』って今村瀬言ってたよな?


もしかして、俺が妄想のしすぎで聞こえたのか?それなら俺は重症だぞ。


「い、いま、すすす好きって言った?そそそそれってお、俺のことが?」


「そうだよ。私は昔っからずっとけーちゃんのことが好きだったんだよ。それで、今の好きな人は森木っち。それが同じ人だったなんて、ほんとに嬉しいな。私はずっとずっとけーちゃんのことが好きなんだよ」


俺は人生で初めて告白をされた。しかも、その相手はかつて会ったことのある人で、運命的な相手と言える。


俺って、ほんとにラノベ主人公になったんだな。


それなら、俺は村瀬と付き合うことだってできるのか?それなら……


「俺は愛月のことが……」


「待った!わかってるよ。けーちゃんは私のこと好きなんかじゃないでしょ」


「…………」


「私が聞きたいのは、はいって返事だけ。でも、それは心の底から私のことを好きになった時までとっておいてよ。絶対に好きにさせて見せるからさ。私は本当にけーちゃんのこと大好きだからね」


「わ、わかった……」


その通りだ。俺はなんてことをしようとしていたんだ。付き合えるなら誰とでもいいと思っていたのだろうか。本気で相手のことも好きとは思ってないのに付き合うなんて本当に失礼なことだよな。


改めて、俺はこんな自分を殴り飛ばしたい。


村瀬がここまでいってくれなかったら、俺はきっと村瀬の告白を受けていたはずだ。実際には一ノ瀬という好きな人がいるのに。


こんなギャルみたいなやつなのに、ちゃんとしてるんだな。


なぜ俺のことを好きになったのか不思議なレベルだ。


「なんか、いろんなことしてたら、ご飯冷めちゃったね」


「そうだな。これ以上冷める前に食べよっか愛月」


「…………」


なぜか、村瀬は返事をしなかった。


「あ、愛月?」


「私はそんな呼ばれ方を欲してはいませーん。けーちゃんは私を呼ぶ時、なんで読んでましたかー」


なるほどな。俺は全てを理解した。


「あーちゃん、食べよっか」


「うん!」


俺があーちゃんと読んだだけで、村瀬は満面の笑みを見せて返事をした。くそっ、可愛すぎる。


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