第83話 写真

俺はどうすればいいんだろう……。


やばい、なんか2人きりだと考えたら、変な想像してしまう。


一ノ瀬や真昼でも緊張はするが、まだ毎日一緒に飯を食ってる仲だ。少しは慣れてはくる。


しかし、村瀬とは違う。一応まだパシリだし、俺はどういう立場でこの夜を過ごせばいいんだ?執事?


それとも、村瀬は実は俺のことが好きで、俺を誘って……ないな。普通そんなことしようと思っても、俺をパシリにしたりはしないだろうし。それに、俺が村瀬に好かれたとしても、そんな好かれるようなイベントがあった記憶がない。


よって、よって……俺はどうすればいいんだ?


全然分からん。


「森木っち、ひとまず、晩ご飯にしよっか」


流石に村瀬も恥ずかしいという感情があるのだろう。少し顔を赤く染め、若干言葉が硬い気がする。


「そうだな」


「それじゃあ作ってくるからテレビでも見ててよ。なるべく早く作るからさ。あ、でも、ご飯炊くの忘れてたや」


そう言って村瀬は部屋から出て、階段を降りていった。


意外と村瀬って、どんくさかったりするのかな。


まぁ、そういうとこ、めっちゃ可愛くていいけど。


………………………。


俺どうしたらいいんだ?!


ここはクラスの女子の部屋。無闇に動いたら、逮捕になってしまう。


慎重に動こう。


俺は村瀬の言われた通り、テレビを見ることにした。


そして、リモコンを取ろうとした時に手が止まった。リモコンの隣にある写真が置かれていた。


つい目線がそこで止まってしまった。


そこには、どこかの草原で撮影された3歳ぐらいの黒髪少女(おそらく村瀬)と同じ歳ぐらいの少年が写っていた。


この2人はどんな関係だろう……。もしかして、アニメとかではありがちな、「大人になったら結婚しようね」イベント?!すげーな。村瀬はヒロインってわけか。


でも、なんかこんな感じの写真、俺もみたことあるんだよな。


俺もはっきりとは覚えてはないけど、俺も誰かと草原で写真撮った気がするんだよな。


旅行に来ていて、俺はその子と出会い、一日中その子と遊びまくって、最後に記念撮影。


多分、実家の押入れあさりまくってたら、出てくるじゃないかな。


いや、俺完全にアニメとかラノベで出てくる主人公じゃん!


でも、その子とはそれ以降一度もあってないし、多分相手も忘れてるだろ。はい、俺が主人公だったら、ここでお話終了だな。


だって、普通なら高校で再会イベントがあったりするんじゃないのか。


俺その子と再会してねーぞ!


再会したのは、そのヒロインじゃなくて、真昼なんですけど。まぁ、真昼は俺と草原で写真を撮った子ではないけど幼馴染ではある。


なに、俺は真昼とのラブコメになるのか。まぁ、真昼は可愛いし、ヒロインとして問題ない、って、何言ってんだ俺は。


やはり俺はめっちゃキモいオタクだな。


”ガチャッ”


「な、何してるの?」


視線を向けると、そこには料理を持った村瀬の姿が。


そして、俺の手にはこの写真……。


やっば!やばいことになってしまった。

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