第66話 俺ってラノベ主人公?
俺はその翌日、一ノ瀬と真昼と3人で登校している。
真昼とは体育祭の期間中は朝練のため一緒に登校していたが、体育祭が終わった次の週から一ノ瀬を加えクラスの美少女2人と登校している。
なんだこのラノベみたいなシチュエーションは!
なんか思うけど、ラノベ主人公と俺って似てるのか?
いや、ラノベと現実は違う。
一度俺とラノベ主人公比べてみよう。
まずは、一人暮らしということだ。たしかにラブコメではありがちなパターン。でも、俺の場合は理由が適当すぎる。ラノベ主人公はちゃんとした理由があるのに。言っておくと、こんな適当な理由で一人暮らしをする奴が主人公の作品なんてできるはずがない。
もしも、こんな作品を作っている作者がいるならば、その作者は舐めている。
しかしだ、たしかに似ている部分としては、『幼馴染が同じ学校』だな。たしかにめっちゃ美人な幼馴染がいる。しかも隣人でもある。
たしかに真昼はメインヒロインとしては文句がないように見える。でも、過去に結婚する約束とかしてないし、伏線回収的なことが何一つない。
それにだ。何故だろう……。真昼に対する恋愛感情がゼロだ。恋愛感情というよりかは、親になった感覚だ。
まぁ、俺がラノベ主人公なら、真昼はヒロイン候補の1人だ。
次に、俺のヒロインになって欲しい人物。そう。一ノ瀬だ。一ノ瀬がヒロインになってくれれば俺に文句はない。その理由としてほんと可愛すぎる。
それに、しょっちゅう俺のことをからかってくる。アニメ化もされてる『からかい上手の低木さん』という作品がある。この作品は、中学校が舞台ではあるが、ヒロインが主人公をからかう物語だ。そして、そのヒロインは主人公のことが好きだからからかっている。
それなら……、一ノ瀬は俺のことを……。
アニメなどの見過ぎで、つい妄想してしまう。
でも、ヒロイン候補としては十分だろう。
ほかにヒロイン候補は……、村瀬?
いや、流石にないだろう。ヤンキーがヒロインの作品なんて……。いや、あるかもしれない。
少なくとも、俺はそんな作品を読んだことがある。
その作品では、ヤンキーヒロインは、バリバリのツンデレキャラだ。
でも……、村瀬はどちらかというと、ツンデレよりも、はっきりとズバズバ言ってきそうな感じだと思うけどな。
でも、頭は真っ赤だが、顔はすごく可愛いと思う。
まぁ、一応3人目のヒロイン候補かな。
ていうか、俺が高校に入学してからまともに会話した女子なんてこの3人ぐらいしかいないんですけど。
今思うと、入学して二ヶ月ぐらい経ったのに会話した女子が3人だけって悲しいな。
でも、今のところ候補は3人か……。
妹は一応いるけど、あいつはないな。絶対に俺のことを嫌いだろうし。
ほかに来るとしたら、転校生ぐらいしかないな。
そして、話は戻るが完全にラノベ主人公とは違うところ。
それは……、俺にとっても頼りになる男友達がいない。という点だ。
どの作品にも、超絶イケメンで性格が完璧な男友達がいるはずなんだ。
それなのに……、俺に男友達がいるどころか、俺が喋ったことのある男はクソヤンキーで何度も俺を殺そうとした(今日学校行くとまた殺される可能性大)郷田しかいない。
以上の理由から、俺はラノベ主人公のようで、色々とかけているのでした。
なんか、考えるだけでため息が出てくるな。
「どうしたの?ため息なんかついて」
「いや、ちょっとこの世界について考えてた」
「何言ってんの?バカだね」
「うっせ」
こんな普通に話しているが、周りからの視線が矢のように俺に刺してくる。
聞かなくても分かる。
「死ね!」 「くたばれ!」 「地獄に落ちろ!」
うん。俺には聞こえるぞ。
でも、俺はもう逃げない。
どのみち、学校に着けば俺は必ず殺される。
だって、電車では郷田に会い、本屋ではレインボーギャルズに会った。
俺の死まであと10分ほどだろうか。
「あ、そうだ。今日はちょっと予定があってさ。今日は晩飯を一緒に食べれるか分からないから、先に食べといてくれ」
「へー、京くんに予定か……。珍しいね」
まぁな。パシられに行くんだからな。だいぶ珍しいよ!
「まぁな。そういうことだから、今日は2人で食べといてくれ」
「了解」
俺たちは学校に着いた。
俺は特に話をする友達もいないので、席に座り、寝たふり。意外と寝たふりは結構いいもんだぞ。
「京くんー」
この声は一ノ瀬か……。一ノ瀬が俺に何の用だろう。
俺は頭を起こす。
「はい。これ今日のお弁当ね」
「お、おう。ありがとう」
そうだったな。今日から順番で弁当を作るんだったな。忘れてたわ。
でも……、こんなみんなのいるところで渡したりしたら……。
みんながその光景を見ていた。
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