第55話 新たな隣人
俺と真昼はスーパーに寄って買い物をしてからマンションに戻った。
マンションに戻ると、管理人さんに会った。
「こんにちは」
軽く挨拶を交わす。
そして、俺たちがエレベーターに向かっている時だった。管理人さんは何かを思い出したかのように言った。
「あ、森木さんと宮下さんって4階でしたよね?」
「はい……。そうですけどなにか?」
管理人さんはその返事を聞いてから話し始めた。
「明日なんですけど、403号室に新しく住人が入ることになって。一応言っておこうと思いまして」
「あ、そうですか。ありがとうございます」
俺は軽くお辞儀をして、エレベーターの方に向かった。
ちなみに言っておくと、俺の部屋は402号室で、真昼は401号室である。
そのため、この403号室の住人はこれから俺の隣人になるということだ。
俺はあまり人付き合いが得意ではない。
真昼の時だって初めはこんなに喋れてはいなかった。
ただ「美しい人だなぁ」と、かってに思っていただけだ。
それが、クラスも一緒だったため今に至るのだ。
まぁ、数時間前に知ったことだが、こいつは俺の幼馴染だし、昔は俺のことが好きだったらしい。
昔はよく遊んだやつなのだ。
それが今ではこんなに綺麗になって……。
まぁ、何にもできないところは変わってないが。
いつも通り俺の部屋に戻り夕食を食べる。
「それにしても、新しい隣人さんか……。なんかめっちゃ緊張するな……」
これは本心だ。
正直かなり緊張している。
「そうだね……。でも京くん、私の部屋に挨拶しに来た時のこと覚えてる?」
「まぁ、覚えてる。真昼が人生で初めての隣人の挨拶だったからな。めちゃくちゃ緊張しまくってたのは忘れられねーよ」
「うそだー。全然緊張してたようには見えなかったけどな……。それに、私も初めてだったからとっても緊張してたんだからね」
これには驚いた。
俺が挨拶を終えた時の真昼の印象はしっかりした美しいお姉さんだった。
それこそ、緊張してたようには見えなかった。
「まじか、全然そんな風には思わなかったわ。でも、どうしよう……。挨拶されたら何て返せばいいんだ?一応隣だし、これからもなにかと関わるはずだから、出来るだけ悪い気分をさせたくないしな……。てか、どんな人なんだろう……。さっき管理人さんに聞いとけばよかった」
「ほんとだね……。仲良く出来る人ならいいけど……」
翌日、になった。
今日、俺は部屋から出る予定はない。
だってだ、もし、部屋を出た時にその人と会ったらどうすればいいんだ?
考えでもあればよかったのだが、昨日考えた結果何も浮かばなかった。
もう無理だ。俺は絶対部屋からでねぇぞ!
”ピーンポーン”
あ、なってしまった……。
俺はこれからの高校生活、ずっと気を使いながら生きていくのだろう……。
俺は渋々ドアを開けた。
「どうもー!これから隣に住まさせていただきます!これからよろしくお願いしまーす!」
「えっ?」
そこにはなんと一ノ瀬がいた。
何をしているんだ?
俺をからかうためにわざわざここまで来たのか?
いや、ちゃんと数分前、業者の人のような声が聞こえていたので嘘ではないのだろう。
「だから、これから隣に住みます。一ノ瀬 来未です!よろしくね、京くん」
まじかよ……。
好きな子が隣に引っ越してくるなんて、ラブコメみたいじゃないか。
これなら、まだ俺と一ノ瀬が付き合える可能性もあるんじゃないか……。
よし、がんばるぞーーーーー!
「おう、よろしくな」
京のことが大好きで、ハチマキの交換により両思いだと勘違いしている宮下 真昼。
その真昼からの好意には気付かず、一ノ瀬のことが好きな森木 京。
京のことは仲のいい友達としか思っていなくて、恋愛感情なんてこれっぽっちもなくて、京と真昼の橋渡しの役目となった一ノ瀬 来未。
これからもこの3人の日常は続く。
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