第41話 ハードな1日
俺たちは練習を開始した。
二人三脚をすると思っていたのだが、今俺たちは公園をひたすら走っているのだが。
しかも、30分以上も。
も、もう死にそうなんですけどーーー!
「ちょ、まだ走るの?もう30分ぐらい走ってる気がするですけど?それとさっきまで隣で走っていたやつが今いないんですけど?」
「そうだね。それじゃあ、あとちょっと走って終わろっか」
「まだ走るのかよ…」
それから少し走った。
そして真昼を見つけたので止まる。
「はぁ、はぁ、お、お前…、すげーな…、息切れてねーし。ってか、なんで俺たち走ってんの?」
「アップってのもあるし、ちゃんと走っとかないと、本番で恥かいちゃうし」
はぁ、アップですか、俺からしたら、マラソン大会をやりきったぐらいにきついんですけどね。
「まぁ、ひとまずちょっと休憩しよっか。それから二人三脚の練習しよっか」
やっとか。それより…、もう動ける気がしない。
10分ほど休憩してから、俺と真昼は二人三脚の練習を始めた。
俺は屈み、くっつけた足を結ぶ。
なんか、めっちゃ緊張するんですけど……。
俺と真昼は肩を組む。
今考えてみたら、女の子の体を触るなんて、初めてかも。
やばい。鼻からなんか出そう。
それに改めて再認識。
こいつのおっぱいでけー!
横から見ると、なんかお椀を胸につけてるみたいな感じだ。
かなりエロい。
本当にBかCか?もしかすると、それ以上かもしらんぞ!
おっぱいの基準とか知らんけど。
これだけみてたら、美人で巨乳とか、完璧すぎんだろ?!
おちつけー。こいつはばかで、部屋がゴミ屋敷なんだぞー。
「そ、それじゃあいくぞ…?最初は結んだ方の足からな?」
「う、うん」
「せーの」
この掛け声にそって、俺は右足、真昼は左足から歩き出す。
なんと驚いたことに、意外と普通に歩けている。
意外と俺たち相性あってるのか?
「ちょっとずつペース上げるぞ?」
「うん」
俺たちは少しずつペースを上げていく。
しかし、全く止まる気配がない。
そして…、最終的には…、走れてるんですけどー?
少し横を見ると、衝撃の光景が俺の目に入り込んだ。
プルンプルン。
見事な動きだ。真昼のおっぱい。
ものすごい勢いで上下運動……。
目が離せない。
その後も、見事な景色を眺めながら走る。
「結構走れるもんだな?意外と一位取れたりするかもな?」
なぜかここで真昼が少し照れる。
(やだー。京くんったら、私たちのペアが一位だなんて、それって遠回しの告白?)
「そ、そうだね。でも、ちょっと疲れたかも…」
「そうだな、ちょっと休むか」
俺たちは一ノ瀬の方へ向かう。
一ノ瀬もずっと走っており、今はベンチに座り、休んでいるようだ。
「いやー、お二人さん息ぴったりだったじゃん!
誰かさんはずっと誰かさんのどこかを眺めてたみたいだけど?」
いや、明らか俺の方見てるよね?明らか俺と目合ってるよね?
本当に全部見られてる気がする。
恐ろしい……。
「そ、それにしても、久しぶりに運動したら疲れるな。腹も減ってきたし」
「そうだね…、それなら毎日走る?」
「遠慮しておきます」
「あははー、私が振られるとは!それと、ちょっと早いけど昼食にする?」
「俺は賛成でーす」
「私もいいよ」
「それじゃあ決定ね。そんなことより、そこの腹を空かせた少年よ。私を神と称えるが良い」
「は?何言ってんだ?そんなことより、腹減ったから早く部屋に帰って飯食おうぜ?」
「君には見えないのかね?ここにあるものが」
そう言って一ノ瀬は箱のようなものを取り出した。
「も、もしや、これって…?ラ、ン、チ?」
「イエス」
「神よー!」
やばい、本当に神に見えてきた。
俺たちのためにランチを作ってきてくれたのか。
まじで完璧じゃねーか。
「皆の衆、たらふく食べるが良い」
そう言って箱を開けるとそこには…、サンドイッチがあった。
「まじか!サンドイッチとかすげーな!食べてもいいか?」
「どうぞ」
「いただきまーす」
そう言って俺はサンドイッチを口に運ぶ。
「うまーい」
いや、冗談じゃなくて、本当に美味い。
おそらく、食パンと食パンの間に卵を挟んでいるだけなのに、こんなに美味い。
感動した。
俺たちは、一瞬にして、サンドイッチを食べ終える。
「美味かったー」
「それは良かった。で、これからどうする?もう少しやる?」
「もういいんじゃないか?疲れたし。初めからとばしたら、よくないし」
「そうだね。それじゃあ帰ろっか。あ、私ちょっとトイレ行って来てもいい?」
「いいけど…、帰るなら俺待つ意味なくね?」
「いいから、いいから」
そう言って、一ノ瀬はトイレの方へ歩き出す。
「それなら私も行くー」
真昼もそれについっていった。
俺はベンチに座り、2人の帰りを待つ。
そんな時だった。恐ろしい思い出しかない声が聞こえた。
「おう、森木か?何してんだ一人で?」
そこに現れたのは郷田だった。
まぁ、何をしているのか気になる気持ちもわかる。
俺が一人でベンチに座って、ぼーっとしているのだから。
「あぁ、ちょっと散歩にな」
さすがに、「美少女二人と、体育祭の練習」なんて言ったら殺される。
「そうか。俺は美少女を探しながら歩いてる。そこらへんに、一ノ瀬さんや、宮下さんとかいねーかな?」
すげーな。ピンポイントで当てやがった。
お前の求めている奴は、10メートル先の女子トイレにいるぞ。
そして、郷田は話し続ける。
「それでよ?お前って一ノ瀬さんと宮下さんの二人とよくしゃべるよな?正直、どっちが好きなんだ?」
何この質問?俺がこのどちらかと付き合えるとでも言いたいのか?ふざけるな!相手にすらされてないぞ!多分。
それに、ラノベとかで読んだことがある。
『その二人なら、○○○ちゃんかな』
こんなセリフを言った主人公がいた。
そういう時に限って、その後ろにその本人がいるんだ。
しかも、今この場面で考えるなら、10メートル先にいることがわかっているんだ。
その結末になる確率がものすごく高い。
それに、一ノ瀬や真昼がトイレから帰ってくるまでに、どうにかしてこいつをどうにかしなくては。
「いや、別に好きな人はいないな。あ、それとあっちの方に一ノ瀬さんがいたぞ」
一ノ瀬さんなんて呼ぶのが久々な気がするな。
「そうか、ありがとな。それじゃあ」
俺は手を振る。
そして、郷田がいなくなって安心した時だった。
「好きな人…いないんだ…」
身震いがした。一ノ瀬だ。
このやろう…。ずっと見てたな!
「なんだよ、見てたのかよ」
「まぁね、でも、出てこなくて良かったでしょ?」
「まぁな」
さすがは一ノ瀬。よく考えて行動しているな。
「それじゃあ、そろそろ解散にするか」
「そうだね。それじゃあまた月曜日」
「あぁ、また月曜日」
「またねーくるちゃん」
そこで俺と真昼は一ノ瀬と別れる。
そして、部屋に帰ってくる。
今思い返せば今日って、めっちゃハードな1日だったな。
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