第38話 朝食
「京くん…?起きてー、朝だよー」
今日の俺の夢は気持ちの良い声が聞こえるな…。
是非とも顔を見てみたいものだ。
目を開けると…、
「うわっ!何しての真昼?!」
目の前に真昼があるんですけど?!なんで?
「時計見てみなよ」
なんだ?若干怒ってる?
俺は渋々スマホを手に取り、時間を確認する。
そこには7時45分の文字が。
「あ、なんかすまん…。今からやるから!」
約束をしておいて、その本人が寝ているのはまずいと思い、すぐさま起き上がろうとした。
「大丈夫、私がやるから。京くんは顔でも洗ってきたら?」
「わるい…、そうさせてもらう」
自分の情けなさを再確認したのち、俺は洗面所へと向かう。
パシャパシャと顔にかける。
冷たくて気持ちいい。
俺は顔を洗い終えて、リビングへ向かう。
そこには、制服姿の真昼が、カレーを温めていた。
いい景色だ。
これでもう少し家事ができたらな…、最高のお嫁さん候補なのにな…。
そんな馬鹿げたことを考える。
わかってはいる。
俺なんかがこいつや一ノ瀬と釣り合わないことぐらい。
一緒に喋るだけでも、宝くじで4等が当たるぐらいすごいことなのだ。
それだったのが今では…、この美少女たちが、俺の部屋に毎日いる。今この時を刺さならば、クラス一の美少女が俺のために朝食を作ってくれてる?ラノベかて!これは、1等だな。
今の俺は、この人生で一番の幸運な時期なんだろうな。
こんな時期はこの先一生訪れることはないだろう。
それなら今という時間を存分に楽しもう!
俺は特にすることもないので、制服に着替えることにした。
パジャマを脱ぎ、制服を着る……
「ちょっ、なにしてるの京くん!私いるよ!一応私女だよ!」
「あ、わりー、向こうで着替えるから」
危なかった。
今脱いだのは、パジャマの上部分だったので、なんとか見られるのは上半身だけだったが、もう少しで下部分脱がなくてよかった…。
俺は制服を持ってリビングから出る。
そうだよな…。嫌だよな…。嫌いな人間の裸なんて見たくないよな…。
こう見えても、真昼はとびっきりの美人だし、嫌われるのはなんか嫌だな。別に好きじゃないけど。
俺は制服に着替えてから、再びリビングに入った。
ちょうどカレーが温まった。
「できたからご飯入れてきてー」
「はーい」
まるで、母親と幼稚園児のような会話がある。
俺が幼稚園児なの?!
俺はお皿にご飯を入れて、真昼の元へ行き、ご飯の入れた皿を渡す。
本当に俺、幼稚園児役なの?!
いやいや、精神年齢で見たら絶対俺の方が年上だし!
俺は真昼からカレーをかけた皿をもらう。
俺はそれを持って、机の方へ。
真昼も自分の分も作り机の元へ。
そして、俺たちは朝食をとる。
「それにしても、なんで真昼は制服なんだ?」
普通に疑問に思ったこと。
わざわざ、ちゃんと朝食をとった後にも時間が残るようにセットしたのに、意味ねーじゃん!
「そ、それは…」
(いうのよ私!いつ勇気を出すの…?いまでしょ!)
「あ、そうだ、ついでだし、今日一緒に学校行こうよ」
つ、ついでですか…。
「あ、ああ、いいぞ」
「やったー!」
そこには、クリスマスにサンタさんからプレゼントをもらった子供のように喜ぶ真昼の姿が。
なぜそこまで、喜ぶんだ?
意味がわからん。
でも一つ言いたい。
やっぱこいつじゃん!幼稚園児なの。
そんなくだらない話をしながら、食事を進める。
俺は真昼よりも少し早く朝食を終えた。
俺はキッチンへ向かいながら言う。
「あ、洗い物は俺がするから、食べ終わったらここまで持ってきてくれ。でも、食べるの急がなくてもいいからな」
さすがに、料理を作ってもらったので、洗い物だけでも、と思ってやったことだ。別に真昼が好きだからやったとかじゃない。
「うん。ありがと」
でも、素直に感謝されると、正直、にやけてしまう。
俺は自分のものから洗い始める。
そして、真昼も皿を持ってくる。
「お願いしまーす」
「あいよー」
俺は真昼の皿も洗う。
洗い終えると、時間は8時10分ぐらいだった。少し行くには早いが、遅いと言うわけでもないな。
「ちょっと早いけど、行くか?」
「うん!」
俺と真昼は部屋から出て、俺は鍵を閉める。
そして、俺たちは一緒に登校する。
なんなんだろう?俺、明日死ぬのかな?そんな気がするんですけど…。
「あ、そういえばさ、なんで真昼は朝俺の部屋にいたの?合鍵でも作った?」
確かにそうだ。考えればとても疑問になる点だ。
ミステリー小説とかなら推理の鍵になりそうな点だよな。
「私と京くんのラインをもう一度声に出して読んでみてよ?」
なんか、俺を起こした時のような感じの真昼。
俺はポケットからスマホを取り出し、真昼の言われた通りに内容を見る。
「えっ…と、明日部屋の鍵開けとくから好きな時に入って。カレー温めてる時とかなら鍵開けれないし…。あ、なるほどね…」
事件は一瞬にして解決された。
「扉開けたら真っ暗で、ちょっと怖かったんだからね…」
「ほんとすまん…」
俺は謝罪をする。
そして、学校に着き、教室へ向かう。
教室には、数名の人の姿が。
やっぱりちょっと早かったかな。
「それじゃあね」
「ああ」
教室の入り口で俺と真昼は別れる。
俺は自分の席へ。
真昼は前の席にいる…師匠の元へ。
なにやら笑顔で話をしている。
俺と別れた後に笑って話されると、悪口を言われてるのかと思っちゃうんだよー!
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