第37話 作戦会議(体育祭)

私は今、とても幸せな気持ちでいっぱいだ。


そう。この体育祭で、私は京くんと一緒に二人三脚をすることになったからだ。


それもこれも全て、我が師匠の一ノ瀬 来未様のおかげなのである。


本当にくるちゃんには感謝しかない。


こうして今、当たり前のように私たち3人は一緒に下校しているが、これも、くるちゃんがきっかけなのである。


くるちゃんが、「一緒にご飯を食べよう」って言っていなかったら、私はこれほど京くん近づくこともなかっただろう。


今日も同じように、スーパーによってから京くんの家へ帰る。


今日はくるちゃんがカレーを作ってくれるらしい。


とっても楽しみ!


買い物を終えて、京くんの部屋に着くと、くるちゃんはご飯を炊き始めた。


いつもならご飯が出来上がってから、料理を始めるのに、今日はすぐに料理を始めた。



「どうして今日はもう作り出すんだ?」


京くんがくるちゃんに聞く。


まぁ、私も正直気になった。


「あぁ、カレーっていうのは、そんなすぐに作れるわけじゃないからね。最低でも30分はかかるよ」


なるほどと私と京くんは頷く。


そして、くるちゃんはカレーを作る。カレーのルーが完成したのとほぼ同時にご飯が炊けた。


私たちはすぐさまカレーを食す。


3日連続で同じ言葉。


でも、とっても美味しい。


「今日、カレーちょっと多めに作ったから、朝にご飯を炊いておけば、朝からカレー食べれるよ」


神だ。


本当に一瞬思ってしまった。


今現在のことだけではなく、先のことまで考えている。さすが師匠!


私は京くんの鍋から少しカレーのルーを取ろうとする。


「あ、それなら明日の朝は一緒にご飯食べたらいいじゃない?」


うそ、朝から京くんと一緒?


ニヤニヤしてるかもと少し焦る。


「俺は別にいいけど、真昼はどうなんだ?」


(どうせこいつのことだから、俺と朝から一緒なんて嫌に違いない)


(え?京くんは私と食べても嫌じゃないの?それなら断るわけないじゃん!)


「私は別に構わない…っていうか、そっちの方がいい…」


(ん?なんだそのラブコメヒロインみたいなセリフは!勘違いしてしまうだろ!実際にはこういうことだろう。

「私は別に(京くんと食べるのは嫌だけど、カレーが食べたいし)構わない…ってか、(私、お米炊くのもめんどくさいし、洗い物もこいつに任せることができるから)そっちの方がいい」

これならこの言葉の意味が理解できる。まぁ、俺はどっちでもいいって言ってしまったし、今から断ることもできねえな)


「それなら決まりだ。明日の7時40分ぐらいに俺の部屋で」


「わ、わかった」


こうして私たちは、明日一緒に朝食をとることが決まった。


「ねぇ、京くん?ちょっと洗い物頼めるかな?」


「まぁ、別にいいけど、何かあるのか?」


「うん。ちょっとね。それじゃあよろしく!あ、まっひーもついてきて」


そう言ったくるちゃんは私を連れて京くんの部屋を出た。


「どうしたの?私に何か用かな?」


「うん。ひとまずまっひーの部屋に入れてもらってもいいかな?」


私は頷き、部屋の鍵を開ける。


「へー、まだ綺麗にしてるんだ」


「まぁ、まだ掃除してもらって一週間もたってないしね。それで…、私に用って何かな?」


「そうね。まぁ、結論から言っちゃうと、今から会議を始めます」


「会議?!なんの?」


「その名も………、まっひー京くんイチャイチャ計画の会議だよ。私はこの体育祭で京くんとまっひーをくっつけようと考えてるの。だから、その作戦会議」


「私と京くんが…イチャイチャ…、にひひひひ…」


「はーいそこ!ニヤニヤしないよ」


「はい。それと作戦会議って?」


「うん。まず、この体育祭でのわたしの計画を教えるね。まぁ、わかってる思うけど、リレーと二人三脚が一緒だよね?それはとても使えると思うの!これをきっかけにして、朝練だのなんだのできる。そこで、一気にいく!二人三脚なんて、アプローチするための最大の武器よ。胸を意識させたりとかの色気とか、持ってるものは全部使う。それで振り向かせるのよ」


「な、なるほど…」


「他にも色々とチャンスはあるの!………とか」


「たしかにそれはいけそうです!そのためにこれからちゃんと練習しないと」


「そうね、これに関しては努力あるのみね。わたしも協力するから」


「ありがと……」


「うん。また色々と連絡するから。あ、それと明日は京くんと一緒に登校しなさいよ」


「そ、それはちょっと難しいかも…」


「できなかったら私はあんたの師匠やめるから」


「し、師匠おぉぉぉーーー!」


私の師匠はその言葉を残して、私の部屋を出た。


よーし、京くん振り向いてもらうため、それと師匠をやめさせないためにも明日は頑張るぞー!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る