第36話 種目決定

俺は今、クラスの男子、いや、じょ、女子からも睨まれてるんですけどー!


まぁ、普通に考えればすぐにわかることなんですけどね。


今日の6限目は学活で、体育祭で、誰がどの種目に出るか決める時間だ。


はじめに、50メートル走や、リレーなど、盛り上がる競技が決まっていく。


俺はこういう盛り上がるような競技とは縁がないんだよな…


「リレー私もやるね!それと京くんもやりたいって言ってたから入れてあげようよ!」


おいおいおい!何勝手に決めてんだ!しかも、俺やりたいなんて言いましたっけ?


頼む誰か!俺を戦力外通告してくれ!そしたら俺はリレーを下りることができるのに…。


まぁ、一ノ瀬の言ったことに誰も反対できるわけもなく、俺はリレーを走らなくてはならなくなった。


そして、安定的に玉入れは俺が引き受けた。


自ら玉入れに立候補する奴なんているはずもなく、争わずに決めらことができた。


この誰にも注目されない競技こそが俺たちの居場所だ……。


その後も続々と決まっていく。


俺たちのクラスでは一人最低でも二種目以上と決められたため、俺はもう種目に立候補する必要がなくなった。


終わった…。


いや、終わってはいない。


なぜって?これから俺と真昼が男女混合二人三脚をすると言わなくてはならないからだ。


想像するだけで殺される気がする。


前回なんて、俺が一ノ瀬に名前を君付けで呼ばれただけなのに、殺される寸前まで行ったんだぞ?!それが今回では一ノ瀬のまたワンランクアップの真昼だ。天国に行く心準備をしておいて損はないだろう…。


男女別の競技が決まり、とうとう男女混合競技の時が来た。


「男女混合競技は、障害物競走、二人三脚、リレーの三種目があるよ。でも、リレーはさっき決めたから、障害物競走と二人三脚は男女それぞれ4人ずつ、それぞれの種目に補欠を男女一人ずつ選ぶことになってるよ。それじゃあ、障害物競走は普通にやりたい人が、二人三脚は男女ペアを作って、決まったら私に報告してねー」


クラスのオスどもは、「はーい」と幼稚園児のように返事をして、それぞればらける。


まぁ、彼女を作りたい奴らからしたら、これはもうチャンスでしかないのだから。二人三脚なんで身体を密着させる競技。彼女とまではいかなかったとしても、普通の男子高校生からしたらメリットしかないのだ。


まぁ、俺がもしこの男どもと同じ考えなら、真昼もしくは一ノ瀬は男どもに囲まれるだろうな。


俺の予想通り、真昼と一ノ瀬の周りにはオスどもが。


そのほかにも数名、違う女子の元へ向かうものも。俺が評価いいなら、こいつらが正しい。ベリーベリーグッドだ。


自分には無理な相手には近づかない。


これが恋愛の必勝法だ。(あくまで京の考えです。)


「ねえ、宮下さん、もしよければ俺と二人三脚しない?」


最初に真昼へ話したのは、爽やかイケメンであり、このクラスの副委員長でもある、大野 将吾だ。


正直いって、男子の中なら、このクラスで一番モテるだろう。断る理由がない。


正直、真昼がかわいそうだ。


こんな爽やかイケメンを断ってまで、俺と二人三脚しなくちゃいけないのだから。


どうしてもこいつとしたいなら、俺との約束なんてなかったことにしても構わないぞ!


俺は死ぬほどお前としたいわけではないからな。


「ごめんなさい…、実は…、ここにいる京くんとやら約束をしていて!」


やっぱり断るか…。



こうして今に至る。


まぁ、睨まれるのは当然だろう。


こんなにも顔が綺麗な子と、俺みたいなクソインキャが体育祭で一緒に二人三脚?!


睨みたくなる気持ち、よーくわかります。


まぁ、男どもが俺を睨むのは、俺への嫉妬ってことで理解できるのですが、女子から睨まれるのはどういうことでしょう。


あんたみたいなクソ人間は、うちのクラスの天使様に指一本触れるな!とでも言いたいのでしょうか?


クラスから俺への好感度はマイナス100を超えてそうだな。


でも、これだけは言わせてください。


こんなことになったのは、全てあそこで男どもに囲まれている一ノ瀬 来未という女のせいなんです!


言いたくても言えるわけがない。


まず言うと、俺がいるからという理由で断られた男どもに殺される。


そうだろう。だって好きな女が、好きでもない同士が体を密着させる?うん。間違いなく殺される。


それに、一ノ瀬のせいだと言うと、今度は一ノ瀬を囲っている男どもから殺される。


そうなってしまえば、俺は何発殴られるだろうな?もしかすると刃物当たりが出てきてもおかしくないな。


考えると少し気になっても来た。


しかし、さすがに「それじゃあやってみよう!」とは言えない。


本当に殺される可能性が、かなりある。


なので、俺は苦笑いをしながらお辞儀をする。


男どもは「そうか、それなら仕方ない」と言っているものの、放課後になれば俺は安全ではない。


幸いなことに、俺は今、放課後はこの美少女たちに囲まれて下校する。


だから多分安全だと思うんだけど…、正直こいつらから離れた途端、男どもが、俺を呼び出すだろう。


そして、その時点で俺はお陀仏だ。


「はーい、それじゃあこれで、混合競技は決まりねー!、確認とかするから一旦席についてー」


一ノ瀬の掛け声でみんなが席に着く。


「それじゃあ混合競技はこれで間違いない?」


一ノ瀬は黒板に書いていた文字を見せる。


あっ!俺と真昼が二人三脚って言ってなかった。


どうしよう?


しかし、ちゃんと黒板には俺と真昼の文字が。


そうか、一ノ瀬は知ってるし、このクラスの学級委員長だったな。


こうして俺たちのクラスの体育祭の出る種目は決まった。


なんだかんだで、一ノ瀬は男女混合二人三脚してねーじゃん!


俺(京)


男子玉入れ

男女混合二人三脚

男女混合リレー


真昼


借り物競走

男女混合二人三脚

男女混合リレー


一ノ瀬


50メートル走

女子綱引き

女子二人三脚

女子200メートルリレー

男女混合障害物競走

男女混合リレー

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