第12話 妄想

いろんなことがあったけど、私は京くんとラインを交換することができた。


しかも、お互いに京くんは真昼、私は京くんと呼ぶことになった。


今でも思う。


あの時の私、ナイスウゥゥゥゥ!。


かなりのチャンスの一緒の下校だったけど、特に会話も弾まず、下校した。私も連絡先や呼び方でだいぶ満足したのだろう。


京くんと別れて自分の部屋に入るなり、ニヤケが止まらなかった。


ひとまず靴を脱ぎ制服のままだが、ベッドに飛び込んだ。


なんだかとても動きたくなくなった。


まぁ1日ぐらいいいよね?


勝手に自分に納得させ、寝る体制に。


これからたくさんいろんなことが…。


妄想が止まらない。


私の妄想その1。京くんの告白。


「なぁ、真昼。一生俺の側から離れるな。結婚しよう」


「うん」


なんとも単純で適当な告白だろうか?しかし真昼にはどうでもいいこと。妄想では全ていいことで終わらせてしまうのだ。


私の妄想その2。京くんとのデート。


ここはMドナルド。私たちはご飯を食べに来ている。


「はい、京くん。ポテト。あーーーん」


「あーーーん、いやー真昼にあーんしてもらったポテトは格別だなー。あっ!真昼ほっぺにソースが」


「えっ?どこ?とってー」


「仕方ないなー、ほれっ、これで大丈夫だ」


京くんは私の頰についたソースを手でとり、それを舐めた。


「ありがと」



このような妄想が無限に続く。


その妄想が65番ほどになった時、陽の光が見えた。


「あっ!」


私は知らぬ間に約12時間もの間、寝ずに妄想だけを続けていた。


流石にまずいと感じた。


いつもなら学校に行く準備をしなくては。


意識が朦朧とする中、なんとか行く準備を終えた。


その姿はまるでオタク丸出しだったころに戻ったようだった。髪はボサボサ、服はしわくちゃ、体はベトベト。


仕方がない。行くとしよう。


靴を履き替えて、履けているのかもわからず家を出る。



私はそこで力尽きてしまったようだ。


思いっきり前方に倒れ込んでしまった。


周りから見れば、まるで死んでいるように見えるかもしれないな。


私はそこで意識を完全に失った。

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