第11話 拘束
何故だろうか?
俺は今拘束されている。
数分前、おれには一通のラインが届いた。おれが持っているラインは家族とあと…。
後者である一ノ瀬からだった。
「放課後、少し残っててくれないかな?少し話したいことがあるの。それと恥ずかしいから伏せていて、寝てます感出しといてくれると助かるな。恥ずかしいから」
(どういうことだ?何故一ノ瀬が?も、もしかして…こ、く、は、く?でも恥ずかしいとか言ってるし告白の可能性はとても高いかもしれない。一ノ瀬が相手なら断る理由なんて何一つないもの。しかしながら、おれはどうやらラノベ主人公になってしまったようだな。はっはっはっーーー!でもこういう時の主人公の対応は…くそっ、ラブコメ系はそこまで読んでなかったからイマイチわからん。けど確か…鈍感野郎な奴が多かった気がする。よし、それで行こう)
そして放課後になった。
俺はこれから生まれて初めて告白されるのだ。
しかも相手は、顔は真昼に及ばないものの可愛い。十分だろう。いや、俺にはもったいないくらいだ。それに性格を合わせればあんな独裁野郎の真昼なんかよりいいだろう。
心を躍らせているが、あくまでラノベ主人公を演じきる。そのためにも鈍感野郎を演じ切らなければならない。
おれは彼女の要望通り、俺は腕を枕がわりにして、あたかも寝ているかのように演じた。
しかしここで改めて思った。
友達がいないと、誰も起こしてくれないんだと。
友達は作りたいものだな。
数分経ち、クラスはかなり静かになった。
しかしまだ起きていいと許可を得ていない。
(あれ?もしかして俺って騙されたのかな?まさかっ!これって一種のいじめだったりして…)
そう考えて起き上がろうとした時だった。
俺は腹のあたりに何かが通ってる気がした。
「うっ!」
その数秒後、腹を締め付けているのかこれが出るほど痛かった。
思わず顔を上げる。
するとそこには一ノ瀬の姿が。
また、俺の腹にはしっかり結ばれた綱のようなものがあった。
あたりを見ると、そこには…真昼の姿がかすかに見えた。
(も、もしや!一ノ瀬までもが真昼の手下に…。俺は終わりだな。唯一頼れると思っていた彼女までもが…)
少し抵抗しようと思い綱を解こうとしたが不思議なことに全く動く気配がしない。
少し辺りを見ると一ノ瀬がクスクスと笑っている。
「解けないわよ。誰にも。切る以外にはね。それより聞きたいことがたくさんあるんだけど…。それに答えない限り、あなたは帰れないわよ」
一ノ瀬が恐ろしく怖い。
「それじゃあまず質問だけど、宮下さんに呼び出されたとき、何故話も聞かず断ったの?何と勘違いしているのかしら?」
(まずは絶対これを聞かないとね。宮下さんに連絡先を教えるのを断る理由なんて何一つもないもの)
「それより、どうして一ノ瀬さんは宮下さんの言葉にオッケーしたの?一ノ瀬さんならそんなことしても何一つメリットがないことぐらいわかるよね?」
(そうだ。クラス内でカースト制を作ったところで何一つメリットなんてない。しかもあんな独裁野郎が仕切ったら終わりだ)
「メリットなんてたくさんあるわ。そうね…連絡が取れたり、一緒に遊んだりとか、たくさんあるわ」
「違うお前は間違っている。騙されているんだ。連絡が取れるなんて、あくまで監視されてるだけだ。それに遊ぶ?違う。遊んでいるのはあいつだけだ。みんなお前みたいに下僕にされているだけなんだ!」
他の奴らならほっておくが一ノ瀬だけは助けてやりたりたいと思ってしまったらしい。
「えっ?下僕?森木くんは何と勘違いをしているのかな?ラインとことだよね?」
「えっ?ライン?下僕への勧誘じゃなくて?なんだー、ってラインの交換?俺と?何故?」
(えっ?俺を下僕勧誘してたんじゃなかったの?それはそれでよかったんだけど…、ラインの交換で何故俺とする必要があるんだ?)
「はぁ、やっぱり勘違いしてたんだー。おかしな話だね。私が初めからラインって言葉を言ってたらすぐに終わったのに…」
「それでなんで俺と宮下さんが連絡先を交換する必要があるんだ?恥ずかしながら俺は彼女との接点が何一つない」
自慢げに言ってみた。
(そんなもん、理由なんてあんたが好きだからに決まってるでしょ……なんて言えないし、)
「それは…宮下さんは私みたいにみんなと友達になりたいんじゃないかな?」
「へーそうなんだ。なんか勘違いしてたみたいだ。俺はてっきり独裁者か何かかと…悪いな」
「流石に独裁者はひどいよ。それと謝るのは私!じゃなくて!…誰にするのかな?!」
恐ろしい瞳の強さ。女の子は怖い。
「分かってます。宮下さんに謝ります」
「よしっ、それじゃあ呼ぶよ」
彼女はそう言い、スマホを取り出し、何回か画面をタッチし、耳にかざす。
流石に俺にもわかる。これは電話をする動作。またこの場合、相手もほぼ100%わかる。真昼だ。
「ちょっ、ちょっと待てよ突然すぎだろ!心の準備とかまだできてないし…」
「何言ってんのよ!今謝るって決めたんでしょ?!あんたそれでもおっ、あっごめん宮下さん!教室に来ていいよ」
俺に最後の男か!と言おうとした時に電話に出たようで、真昼からすれば出て早々「おっ」って聞こえて驚いてるだろう。
一ノ瀬が電話を終えたところで俺は言った。
「まぁ一応ありがとう一ノ瀬さん」
「何が一応よ。しっかり感謝しなさいよ。それともうさんはつけなくていいよ。一様本気で言い合った中だしね」
なんとも嬉しくない理由で俺は一ノ瀬の呼び捨て権を得た。
「分かった。い、いちのせ…」
「よし、それじゃあ後は頑張ってねー」
「えっ?ここにいないの?」
「いや、私いたら邪魔でしょ…」
そう言って彼女は教室を出た。そしてそれと交代かのようにして、真昼が入ってきた。
「やぁ、森木くん。それで…」
「悪かった!俺…ちょっと勘違いしてて、ラインの交換だったんだよね。しようよ交換」
「あっ、うん。それはそうなんだけど…どうして縛ってるの?」
そうだった。俺は縛られていたんだった。少しの間このままだったせいか、気づかなかった。
「と、とにかく解こうか」
「いや、これは解けないらしい。切るしかないらしい、ハサミとか持ってる?」
持っていなかったら俺は終わりだと思ったが、奇跡的に持っていた。そして、綱を切り解いた。
「ほんと助かったよ。宮下さん。ありがとう。これは一つ貸しにしといてくれ」
「わかった。それと宮下じゃなくて真昼!私のことはこれから真昼って呼んで!それと、私も京くんって呼ぶから」
「わ、わかったよま、真昼」
やはり真昼という言葉は昔呼んでいたためか呼びやすかった。
「うん。ありがと」
その笑顔に見覚えがあるような…。
考えようとしたが、俺の友達にこんな美少女はいなかったため諦めた。
そして俺と真昼はラインの交換をした。
この事件について全てを知っている女(俺を縛ったやつ)は、ドアの外から全てを聞いていた。
そしてラインの交換を終えたところで、歩き出した。
「ふっ、面白くて、とってもお似合いの2人ね」
そして俺たちは…自然な流れで一緒に下校しているのだが…全く話が続かない!
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