第10話 主犯者
私はフラれた。
そう。京くんにフラれたんだ。
私の目からは涙が…。
「し、しじょーーおーー!フラれちゃいましたー。うえーーん!」
屋上に密かに隠れていた師匠と呼ばれる人。
そいつは恐る恐ると出てきた。
そこにいたのは…一ノ瀬 来未だった。
数日前から振り返ってみよう。
私は彼女(真昼)を食事に誘った。
真昼は二つ返事でオーケーだった。
そして私は学級委員長として宮下さんにいろいろと話を聞いた。
「宮下さんは今の学校生活はどう?楽しめてる?まぁ宮下さんは人気者で最近なんかは天使なんて呼ばれてるもんね。もしかして彼氏とかできた?」
「そんなのいないよ。欲しくてもできないのに…」
「それじゃあ好きな人とかはいるの?」
真昼はわかりやすくむせる。
(ははーん、宮下さんって好きな人いるんだ。これはちょっと面白そうだなー、ちょっといったら教えてくれそうだし)
「いるんだー!だれだれ?教えてよー」
「えー、嫌だよー。恥ずかしいじゃん」
「大丈夫だって!私、宮下さんの好きな人をみんなにバラしたりとかしないし、私宮下さんの恋、応援するよ」
(こんな感じでいけないかなー?さすがに…まだ無理かなー?)
(どうしよう?京くんのことバラすのは怖いなー。でも一ノ瀬さんは、私の恋を応援するって言ってくれてるし、名前は伏せて教えようかな)
「ちょっと名前を教えるのはちょっと恥ずかしいからヒントだけね。多分すぐわかっちゃうかも…。
えっとね…その人は…実は私の幼馴染で、かっこよくて、とっても優しくて、とっても男らしくて、昔はたくさんお話とかしてくれてて…ほんと大好きなの!あー、話してると恥ずかしくなってきた」
(へー、って、ラノベか?!ラノベの王道じゃん。意外と宮下さんも乙女なんだなー、でもそんな人、うちの学校にいるのかな?まぁ聞いたからにはお手伝いしなくちゃね)
「それで、好きな人とは順調なの?」
「それが…連絡先すらわからない状態で…」
「えっ?」
(思わず口から本音が出ちゃった。連絡先持ってない人のこと好きになるとかあり得るの?結構この子変わってるのかな?)
「それじゃあその子とライン交換しなよ!交換できたらその子といつでもおしゃべりできるんだよ」
「一ノ瀬さんって天才?!全く思いつかなかった。ねぇ、一ノ瀬さんのこと師匠って呼んでいい?」
(あっ!この子意外にばかんなんだ。)
真昼のことを頭のおかしな奴と考える奴の2人目が誕生した。
「それは別にいいけど…じゃあ作戦決行日はいつにする?金曜日ぐらい?まだ数日あるし、心の準備もできるんじゃないかな?」
「師匠の言うがままに」
(うわーなんか怖いなー、こんなとこクラスのみんなとかに聞かれたらいじめられたりしそうだわー)
「それじゃあ作戦は、その日、放課後に屋上に呼び出して聞こうかな」
「うわー考えるだけで緊張するなー」
「大丈夫だよ」
(あんた、自分が天使って呼ばれてるのにそこまで緊張する意味ある?100%いけるでしょ)
「一応その時一緒にいてよ」
「ダメだよそこは一対一でやらなくちゃ。でも影から見守っててあげるから」
「うん!ありがとう」
真昼は満面の笑みを見せる。
(まずい、私が宮下さんに恋してしまいそう)
作戦決行日。
6時間目が終わると真昼は走って教室を出た。
それを確認し、少ししてから追いかける。
途中で森木くんとぶつかってしまったがまぁいいだろう。
そして屋上につき、隠れる。
そして1分ほどだった時、屋上の扉が開かれた。
そこにいたのは…森木 京だった。
(あれ?森木くん?間違って来ちゃったのかな?それか、もしかして宮下さんの好きな人って…森木くん?)
「ごめんね、忙しいのに!」
(まじかーーーーーー!あの天使様の好きな人がまさかの森木くん?!やばーーい。この学校の頂点が底辺の人間を…。いや、おかしいぞ?以前宮下さんに好きな人のこと聞いた時、なんかイケメンで優しくて…とか色々言ってたけど、何一つあてはまらないじゃん!やっぱりあの子は頭おかしいのか?まぁ森木くんが相手なら失敗するはずなんてあるわけ…)
「悪いが俺にはそのつもりはない。それじゃ」
(あったーーーー!まさかの森木くんにフラれた)
こうしていまに至る。
「師匠、どうしましょう?私はフラれてしまいました」
「いやちょっとおかしくない?森木くん宮下さんの話聞いてなかったくない?何かと勘違いしているのかも」
「それでも…フラれたことには変わらなくないですか?」
「ふふふ…。なめられちゃ困りますよ。こうなったら力ずくでもラインを交換させて見せるわ!結構は明日の放課後!宮下さんは教室に残っておいて」
「わ、わかりました」
こうして始まる連絡先ゲット大作戦第2章。
(少しぐらい荒くなっても仕方ないよね。ふふふはははははーーー!楽しみにしておきなさい森木 京!話を聞かずに立ち去った罪は大きいわよー)
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