第9話 フラれた天使様
私は目が点になり、顔が赤くなりそうだ。
なんと私が京くんと同じ委員会に…。
ニヤケが止まらない。
図書委員の仕事は週一回、昼休みに図書室で本の貸し出しをすることだ。
あの時から一週間ほどだったけど…なんの進展もないんですけどーーーー!
でも、友達とかはたくさんできた。
京くんは図書室で本読んでるし、邪魔したら悪いよね?あーもうどうしたらいいのよー!
せっかく京くんと同じ委員会だったらいっぱいお話したりできると思ったのにー!
無駄に一週間を過ごしてしまった。
さらに一週間後。
私はある決心をした。
京くんにこの気持ちを伝える。
私は京くんの………………。
運命の日。この日は図書委員がある日だ。
正直言って、この図書室に誰かが入ってくるのを見たことがない。なので堂々と言える。
「ねぇ、森木くん。ちょっといいかな」
(よし言えた。ファーストミッションクリア!)
「なに?」
(なんだ?最近では天使様なんて呼ばれてるこいつが俺に何の用だ?)
「あ、あのね。今日の放課後……屋上に来て!」
私は恥ずかしさのあまり勢いよく図書室から出た。
図書室に1人残された少年、森木 京。
(はぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!なんだよあいつ!勝手に仕事サボって出て行きやがった。たしかに図書委員なんていらないけど…ほんとむかつくなーあいつ!それと…さっきあいつ「屋上に来い!」って言ってたよな?何の用だ?普通にラノベとかだったら屋上に呼び出すとしたら告白とかだけど…、まさかっ!あいつまさか俺のことが…ないな。だとしたらなんだ?も、もしかして…脅迫状とかだったりして…。さすがにあいつも高校生だし、そんなことしたら友達とかいなくなったり…。いや、あいつだけは違うんだ。この学年、いや、この学校のカーストの中でトップに君臨する奴なんだ。逆らう奴なんているはずがない。もしかしたら俺を呼び出して、「私の下僕になるがいい」とか言うんじゃ…いいだろう!やってやろうじゃねえか!俺は今決意したぞ!この学校の全員がお前の下僕になったとしても、俺だけは、俺だけはお前の下僕にはならない)
長く考えてる間に次の授業が始まる五分前にまでなっていた。
教室には…いた。サボり女、いや、てんしさま!がだ。
(やだ、京くんがこっち見てる!うれしー!ちゃんと気持ち伝えるから楽しみにしててね!)
6時間目の授業が終わると真昼はダッシュで教室を出た。おそらく屋上だろう。
行くか、
俺は覚悟を決めなおし、ゆっくりと歩く。
いく途中、俺とある人がぶつかった。
ぶつかったのは一ノ瀬だった。
「すみません!お怪我はありませんか?って森木くんじゃない!ごめんねちょっと急いでて。また今度!」
やっぱり一ノ瀬はいい奴だなー。是非とも幸せになってもらいかぎりだ。
こうして俺は階段を一段、また一段と上がっていく。
そしてとうとう屋上の目の前にまでくる。
俺はふぅ、と一息つき、扉を開けた。
そこには天使様である真昼の姿があった。
「ごめんね、忙しいはずなのに」
(なにこいつ?本気で喧嘩売ってのかな?ぼっちの俺が忙しいわけねーだろ!)
「いや、全然」
「それじゃあ本題なんだけど…、私!森木くんの…」
言おうとした時、京も口を開いた。
「悪いが俺にはそのつもりはない。それじゃ」
京はそれだけを言うと、真昼に背を向け屋上を後にした。
屋上の扉が閉まると俺は大きくガッツポーズを作った。
(やった、やったぞ、やってやったぞー!ほんとスッキリしたー)
宮下 真昼は森木 京にフラれたと言うことになった。
「し、しじょーーおーー(師匠)!フラれちゃいましたー」
屋上にはもう1人この事件を考案した主犯者の存在があった。
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