第5話 インキャ診断
私は今、大きな仕事をやり終えた。
自己紹介のとき、中学生時代のトラウマのせいか、みんなの前に立った時、緊張で声が震えてしまいそうだった。で、でも、こんなダメな私を京くんが見たら、私のこと嫌いになったりするかもしれない…ここは思い切って言うんだ。
こうして私の高校生活の第一歩を踏み出した。
(男の子はみんなニヤニヤしている。よっしゃー!こんなにみんな喜んでるんだから京くんも…て、何やっとんねん?!)
京くんはその時、真剣に自分の自己紹介を考えていた。
(まぁ、はじめはこんなもんよね。はぁー、めっちゃ頑張ったのにー)
自分で自分を慰めていた。
そうしていると京くんの番が来た。
私の小学生の頃から愛していた京くんの自己紹介。
どんな自己紹介なんだろう?
京くんは先生に言われた時、「はい」としっかり返事をしていた。
まさか?!あの頃の京くんとはちがうのかしら?京くん、まさか、オタク卒業したの?!
私の大好きな京くんが…変わってしまったのかしら。
その予想はすぐに間違いだと気づいた。
気づいた点その一。
前を向いて話すのかと思ったら…下向いてるじゃん!これでは京くんはインキャ率50%で、確定とは言えないわね。
その二。
好きなことで読書って言っちゃうと…ずっと家に引きこもってる子みたいじゃない!京くんは顔も地味だし、これでインキャ率90%ね。
その三。
えっ、もう終わり?きましたぁぁぁーーーー!オタクといえば…口数が少ない。京くんって何話してたっけ?読書?ぐらいかな。それと、「えっと…」しか言ってないよー。私発明してしまったかもしれない。
「オタクの原則」
「えっと…」+沈黙 > 言葉
私もそうだったし。
はいこれでインキャ率100%ね。
これでひとまず京くんがまだインキャなのか診断を終わりね。
これでひとまず安心ね。京くんがオタクでよかったー。
真昼がニヤニヤしていた理由はこれだった。
やだ!京くんと目があっちゃったー。いや最高なんですけどー。
いや、もしかしたらライバルがいるかも!辺りを見てみると…あっ!くっ、ライバルがいたのは想定外だったわ。あの子は…一ノ瀬さんね。うわぁ、めっちゃ可愛いじゃん!しかもめっちゃ天使そうな性格してそうだし、あんなに笑顔で拍手してるし。
これは強敵ね。絶対に負けないんだからね。
その後は式があってそのあとは下校だった。
特にすることもなかったので、家に帰る。
道中は特にすることもなかったので「京くん」と呟きながら、妄想しながらかえった。
家の前に着いた。少し興奮していたのか、数歩歩き、京くんの家の前に来た。そこで小さく呟いた。
「京くん、大好き」
しかし、彼女は気づいていなかったのである。その十メートル後ろに本人である京がいることに。
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