第4話 自己紹介
俺はおそらく高校生活もぼっちで過ごすのだろう。
朝の時間を無駄にしてしまった。
美少女の宮下さんは…当たり前のように友達を作ってる。
「はぁ」
とため息をつくと、先生がやってきた。
「みんなはじめまして!僕の名前は五条 仁(ごじょう じん)です。今日から一年間担任になることになりました。よろしく」
そして、配布物とかが配られてる時に彼から地獄の提案がされる。
「特にすることもないし、少しでも早く友達を作れるように自己紹介でもするか」
(ウワァァァァーきたぁぁぁぁぁぁぁぁー!学校で避けることのできないことランキングの上位に君臨する自己紹介だ。教師というものはインキャというものがわかっていない。なに?どうしろと?俺がクラスみんなの前で恥をかくのがそんなにも見たいのか?!自己紹介なんて、ヨウキャには友達を作るチャンスかもしれないが…そうか!俺だってこの自己紹介に力を入れることで、友達を作れるかもしれない!よし!友達の作るための自己紹介を考えるぞー)
「それじゃあ出席番号順でいいか?じゃあ一ノ瀬からいけるか?」
「はい!」
そう言って出てきたのは黒髪ロングで清楚系の女の子が出てきた。これまた美人だ。そして彼女は自己紹介を始めた。
「みなさん!はじめまして!一ノ瀬 来未(いちのせ くるみ)と言います。私はこの学校の全員と友達になりたいです。スポーツや読書など幅広いジャンルの趣味があります。ぜひ一緒にお話しましょう!今後みなさんにラインを聞きに行ったりすると思います。これからよろしくお願いします」
うおぉぉぉぉぉーーーと叫んではいないものの、男子諸君の顔が舞い踊っているのがわかった。
そりゃ俺だってかわいい子好きだし、みんなと同じように舞踊りたいのは山々だが、わかっている。
こんな子につりあったりしないこと。
あとでライン聞きに行くとか行っといて、俺みたいなぼっちには聞きに来ないこと。
はぁ、と、ため息をつき自己紹介の批判をしていた。
その後も、サッカー部に入る予定だという俺の一番嫌いなスーパーイケメンの木村、自己紹介のときにわざわざ俺は中学でモテモテだったなどと笑いを取りにくる武田など、自己紹介が進んでいく。
こういうやつらがクラスを引っ張っていくんだろうな。改めてため息をつく。
「次は…宮下よろしく」
「はっ、はい」
そう言って彼女は緊張しているのかおどおどしながらみんなの前に立った。
聞かせてもらおうか!このクラスの中で一番のヨウキャであろうお前の自己紹介を聞かせてもらおうじゃないか!
「えっとー…み、宮下 真昼です。私は一人暮らしで学校に通っています。友達とかもこの学校にはいないのでどうぞ気軽に話しかけてください。よろしくお願いします」
最初は緊張していたのかおどおどしていたが、途中からはヨウキャというよりかは真面目な子のように思えた。
このギャプにもオスどもはニヤニヤしながら拍手する。
俺はこの世のオスどもに絶望していた。
そんなことをしている間にとうとう俺の番が来た。
「次は…森木よろしく」
「はい」
そう言って俺はみんなの前に出て、しっかりと前を向こうとは思っていた…のだが、自然と顔が下に向く。インキャとは体の自由が効かないらしい。
「えっと…森木 京です。好きなことは読書です。えっと…よろしくお願いします」
俺の自己紹介はいろんな意味で終わった。
少し周りを見ると、一ノ瀬は笑顔で拍手をしていた。
(はーい、お世辞ね、ありがとうございまーす)
立ち直れそうになく、机の方に向かう。
その時、謎の光景を見た。
宮下がニヤニヤしていた。
何故だ?!
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