第22話 我が家が筋肉ワンダーランドにやってきた!?(前)
(……ペルカ元気にしてるかい)
(はい、ヤマトさん久しぶりなのですぅ。ペルカは元気にしてるのですぅ)
(おっ、俺は……死ぬかもしれない……)
(はぅッ!? どうしたのですか!!)
いま俺とペルカが話しているのは、実に三ヶ月ぶりだったりする。
そう、あの食事会からすでにそれだけの日数が過ぎていた。
いま俺が
俺は部屋の畳に倒れ伏し、ペルカと【
バルバロイから小休止を言い渡され、部屋のドアを開けるなり倒れ伏したのだった。
あの食事会の後。俺はバルバロイの野郎にある意味
闘神の神殿域は、主神の神殿域と違って非常に雑多だった。
山あり谷あり崖あり滝ありとまるで『修行のドリームランドや!』状態だ。
ふと、倒れ伏した状態から首を右に向けると、闘神の神殿域が広がっている。
この神殿域にいる者達は雑多だ。人族が多いみたいだが、
ここに居るもの達は、戦女神が死後地上から招いた戦士達だそうで、天界でさらに鍛えてるらしい。
だからなのか、彼らを連れてきたと思われる、サテラと同じように
不思議に思っていたのだが、戦女神は戦争を
さらに、軍隊と同じく階級があり。地上のもの達が一般に戦女神と言っているのは
ごまかされたのかな?
さて、部屋から見えている状態を説明したわけだが。……つまり、俺の部屋は見られ放題なのだ。敢えて言いたい。どこのバラエティー番組だ!
(ヤマトさん? 大丈夫なのですか?)
意識が
(あっ、いやっ、……ペルカを助けたときに恥ずかしい姿を
環境も問題
(コーチ?)
……はい。ペルカには、〈コーチ〉分かりませんでした!
(指導してくれてる神なんだけどね。ドゥランを100倍くらいに
(はわわ)
ペルカが、口元を包むように両手を添えて驚きの声をあげる。あっ、このまま召されるんだろうか、ペルカの幻想が見えるよ。あれ? 神様って死んだらどうなるんだろう?
うーん、しかしペルカのリアクションは和むなぁ。なんだか彼女の姿が本当に見えてるようだ……。
(ヘッ?)
(はえ?)
あれ? なぜペルカのリアクションが分かる!? 散々にしごかれて遂に幻想が見えているのかと思った。
彼女はいま麻製っぽいが細い繊維を使った貫頭衣を、腰の辺りで太い飾り紐で
……なんだかハッキリ見えてない?
倒れ込んだ状態で、
(ペルカ、ひとつ聞いていいかな)
(はい? 何ですか?)
突然の俺の問いに、ペルカが小首を傾げている。うーん、可愛いのう。
ハッ! オッサンか! 俺。
……アッ、オッサンだ俺。32歳だし。
(ペルカには今、俺の姿って見えてる?)
(……? 見えていないのですぅ? どうしたのですか?)
(いや、俺には見えてるんだペルカが)
(はややっ! あうあう……)
言ったとたん、ペルカが大慌てで服装を確認したり、髪を直したりし始めた。あっ、耳が引っかかった。
……やっぱり和む。
(初めて【神託】を使って話した時には見えなかったんだけどなあ。……もしかして)
(もしかして…… どうしたのでしょう?)
(ステータス)
大和大地〈主神代理〉
神レベル2 → 3
神力12 → 20
神スキル
【降臨】神力10:【神託】神力1:【スキル付与】神力1:【加護】神力1:【種族加護】神力5~10:【天啓】神力2:【神体創造】神力5:【人化降臨】神力2~(付加術:【天界復活】神力5:【神器附帯】神力1)
所持神器:〈獣神の足紋〉〈界蜃の袋〉
(人化降臨ステータス)
〈大和大地 32歳〉人族 男
創造神 (?ゃ?吟???)
守護神 (サテラ)(シュアル)
剣士レベル4(メイン)、闘士レベル1
生命力 37/37 → 49/49
魔力 53/53 → 66/66
力 25
耐久力 24 + 5(装備補正)
耐魔力 36
知力 25
精神力 40
俊敏性 23 + 3(加護修正)
器用度 28
スキル:剣術Lv8、体術Lv6、
種族スキル:考案
装備:
所持品:クロス・アーマー、マント
おおっ、やっぱりレベルが上がってる。しかも、色々と能力も上がってる。
そうだよなぁ、この三ヶ月の訓練を思い出し……身体がぷるぷる震える。
何だろう、軽くトラウマ?
逆にアレでレベルが上がってなかったら詐欺だよね。でも、今まで使っていたスキルもレベルによって効果が上がったりするのか。これもなかなか興味深い。後でサテラに聞いてみよう。
敏捷性の加護修正はシュアルさんの加護のおかげなんだろうな。後でお礼を言っておこう。
あれ? スキルに〈憑獣の術〉ってのが有るけど。これもシュアルさん関係なんだろうか? でも、加護がもらえるのは
うーん、これも後でサテラに確認だな。
(どうやら、レベルが上がったみたいだ)
(レベルが上がったのですか。おめでとうございますなのですぅ! そうなのですぅ。ペルカもレベルが上がったのですよ!)
ペルカが、エッヘンと立派な胸を張った。
……この三ヶ月でさらに立派に。
――眼福です。
フンッ! と言う描き文字が鼻の辺りに見えそうなペルカに向かって【サーチ】を使ってみた。
〈ペルカ 12歳〉狼人族 女
創造神 (シュアル)
守護神 (ヤマト)
巫女レベル2(メイン)、爪牙闘士レベル2
生命力 20/20 → 28/28
魔力 12/12 → 25/25
力 18
耐久力 24
耐魔力 10
知力 15
精神力 18 + 5(加護修正)
敏捷性 30
器用度 8
スキル:格闘レベル3、巫女魔術レベル2、
種族スキル:健脚
オオッ、本当だ。
(あれ? 巫女はわかるけど、
(そうなのですぅ! 私もヤマトさんと同じで、修行してるのですよ。ドゥランのおじさんに教えてもらってるのですぅ)
うっ、なるほど。さっきのペルカの驚きはドゥランに修行してもらってるからなのか。
うっわー、これじゃペルカに泣きつけないな。……俺にもそのくらいの見栄はありますよ。
ところで、あの精神力に付いてる〈5〉ってのは俺の加護なんだよな? 後、成長促進って? まさか、それのせいなのかあのペルカの成長は!? ……俺の願望じゃ無いよね? ね!
(がっ、頑張ってるんだなペルカも、ヨッシ! 俺も頑張るよペルカ)
(ハイ! ペルカ頑張ってヤマトさんの威光を世に広めるのですよ! その為にも、この森から出て行けるだけの力を身に付けないといけないのです!)
胸の前でガシッと、両手を握りしめて俺を見つめる。……彼女からは見えていないんだが、ドキッとしてしまった。
「ヤマト、何をしてるんですか? 休憩終わりですよ」
突然、背の上からクールな声音が降ってきた。
「どわッ!」
(ひゃう!? どうしたのですか?)
……何だろう? 背中に妙な圧力が。
(ゴメン、ペルカ。もう時間みたいだ。ペルカも頑張って、俺も頑張るからな!)
(ハイなのです! また、お話できるのを待ってるのですぅ)
ペルカは、まるで玄関で飼い主が出掛けていくのを見送る子犬のようだ。
「行きますよ」
「わーっ! サテラ、チョッ! あしっ、足ッ!!」
言葉とともに、サテラは俺の足を掴んで引きずる。
「チョッとサテラ。ここ主神の神殿域と違って雲の絨毯じゃないんだから、地面があるんだよ地面が! 削れる、削れるって!!」
戦女神であるサテラさんの腕力に敵うわけもなく、俺は部屋からズリズリと引きずり出されるのだった。
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