第四章 第九話
「なるほど。四条君の気持ちはわかったわ。とりあえ――――」
プルルルルルルルルルルル――ガチャ
「はい四条です」
「柊人君?大変よ。脱獄者が出たの!!迎えに行くから下におりといて!」
「迎えに来なくて大丈夫です」
「何、言ってるの??」
「俺はもうシルフを抜けます。というか、強制的に加入させられたんだから。もうこれ以上俺には関わらないで下さい」
「こんな時に冗談はやめて!ただでさえ、手一杯なのに!」
「本気です!それでは、そういうことで!!」
「えっ!あっ!ちょ――――――――」
強制的に電話を切った。焦る百川さんの声は俺の耳には届かなかった。そして、隣には腕組少女がいる。俺は組織よりもコイツをとった。だから、何があってもコイツだけは守り抜かないと!
「ねぇ。今の人って」
「あぁ最低な大人たちだよ。もう関わらないから」
「そう…………」
気まずい雰囲気になってしまう。正直、こんな雰囲気は苦手だ。小鳥のさえずりが聞こえる。
「あ、そうだ!今日は三人で買い物に行こうか!」
「あの~私一応脱走者なんですけどぉ……」
「瑞穂からカツラとか借りれば大丈夫だって!それに、お前だって、色々買いたい物あるだろ?」
真白が不安そうな顔でこちらを見る。しかし、俺はそれを横目で、自称アイドル級寝坊助を起こしに行く。時刻はすでに<7:42>世間一般では起こしても怒られない時間だ。
「おい。起きろ~朝だぞぉ~」
カーテンを勢いよくあける。窓から勢いよく光が流れ込む。
「ん~。ん~ぁ。も~朝ぁ?おはよ~」
「おはよう!さぁ、今日は買い物いくぞぉ~!さぁ準備しろぉ!」
「今日?あぁ~ごめん。今日予定ある」
「予定?学校以外引きこもりのお前が?ゲームするとかの予定だったら怒るからな?」
「失礼な!違うよ!今日は部活のミーティング。練習はサボれるけど、さすがにミーティングはサボる訳にはいかないのぉ!」
なんでそんないたいけな瞳でこっちみてくるんだよ。ほんと。
「あぁもうわかったよ!だったら、明日はあけとけよ!」
「了解で~す」
「真白~。ごめん瑞穂が部活のミーティングがあるらしくていけないらしいんだ。だから、買い物は明日でもいいか?
「えぇ大丈夫よ!私の事なんて後回しにしてくれても」
真白はテレビを見ながら適当に返事をする。
「……で、今日はなにする?」
「メイドさんごっこ」
「うお?!なんか可愛いな。よし!それやるか!」
「メイドさん。コンビニ行って飲み物買って来て。あ、それと、お菓子とゼリーに、ケーキもいいわね!よろしく!」
「は~い!……………って、やっぱりただのパシリじゃねぇえかよ!」
少しでも、真白に元気をつけてあげたいと思ってメイドさんごっこを承認した、俺が馬鹿だった。
「あらそういうゲームじゃないのかしら?」
悪びれもなくしれっと言う。
「あ~もう。やめだ!やめ!俺は部屋で溜まってたアニメみたりするから、お前は部屋でなんか好きなことしてろ!」
「女を置いて、一人でアニメを見るため籠るなんて、これだから二次ヲタは……腐っても、厨二なんでしたら、『女を置いてはいけない』とかかっこいい台詞の一つでも言ってみてはいかがです?まぁ、いいわ。じゃ、好きにさせてもらうわね」
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