第四章 第八話
んぁ~
現在7月17日の午前5:30
まだ、俺以外誰も起きていない。
取り敢えずリビングへと向かう。
さぁ、今後の行動予定を練ろうとするかぁ。
少しねぼけながら<アッという間にすぐに沸く>の電源を入れる。
そして、ソファへと腰を下ろす。
「ぐはぁ……」
いつものように、腰を下ろすと下から声が聞こえてきた。
あぁ……また幻聴かぁ……ほんと、不便な体になったものだなぁ。
そう思い、右手をソファへと下ろした。
やわらかい…………?!?!
完全に覚めてしまった目から放たれる目線を右手へと向けると、俺の右手は二つの山の一つを完全に掴んでいた。
「ちょっと。朝からなにしてんのよ。寝てる隙に襲おうなんていい度胸ね」
冷たい目線がこちらを襲う。
「真白?!なんでこんなところで寝てるんだよ!」
「なんでって、あんたが『自分家だと思ってくつろいでくれて構わない』っていったんじゃない!第一、寝る場所なんて指定されてないから、どこでもいいでしょうが!」
確かに寝る場所なんて指定してなかった。これは俺のミスだな……
カチ
「悪かったよ。起こしたことを謝罪する」
「ほんと全くよ。朝っぱらから何が嬉しくて胸を触られなきゃいけないのかしら」
あぁぁぁ!忘れようとしていたのにぃ!
「わ、わざとじゃねぇえよ!」
「ふぅ~ん。顔赤くなってるわよ?あら、あっちの方もおはようございますかしら?」
「うるせぇえーー!!!」
朝っぱらから賑やかな雰囲気に包まれた四条宅。二人はすっかりと目が覚めてしまった。
「コーヒー飲むか?」
「頂くわ。あ、砂糖とミルクいらないわよ」
えぇぇ。コイツブラックで飲むのか……大人っぽいな。
じゃ、ここは俺もブラックでいくとするか!
香りの漂うブラックコーヒーを二つ机へと運んだ。
「ん~。おいしい!やっぱ、朝のコーヒーは最高ね!!」
「あぁ。そうだな」
コーヒー一杯ですっかり機嫌を直した真白。子供っぽいんだかなんだか……
テレビをつけ、コーヒーカップを片手に言った。
「なぁ真白。これからどーするよ」
「ん~。とりあえず、しばらくはここに居させてもらうわ。家に帰るのも危険そうだし……学校はないから大丈夫でしょ」
「それはいいけど、家に帰らなくて、色々と取りに行くものとか大丈夫なのか?」
「う~ん。必要なものは柊人君に買って来てもらうからいいわ☆」
悪びれもなく言う。コイツホントに。まぁ、俺が引き起こした事だし、今回ばかりはしょうがないか……
「あ、お金は出さないわよ?」
「えー。それってただのパシリじゃん~。いや、金もらえない分それよりひどくない?!」
真白が笑みを浮かべた。一晩経って、あの状態からは少し抜け出せたみたいだな。
「で……それはいいとして。ここからは俺の推測交じりで話をするな。取り敢えず。俺は昨日シルフを抜けた。で、もしかしたら真白のように、監禁されている人がいるかもしれない。俺はそれを助けたい。いや……助ける義務がある。これ以上、俺のせいで不幸になった人を増やしたくはないんだ。もう、他人の人生を変えてしまうのは嫌なんだ……」
つい、思いが乗って熱烈的に話してしまった。真白は真剣な面持ちで聞いてくれている。
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